記事概要
人との距離が近づいた時に不快に感じる第1位が、口臭!自分の口臭ってどうなんだろう?って気になりますよね。今回は、口腔内の環境が原因となる口臭に焦点をあて、その原因と解決法についてご説明します。
1人との距離が近づいた時に不快に感じる第1位が、口臭
前回のブログでは、デンタルフロスとエンドタフトブラシの使い方についてお話しました。(参照:https://www.okano-do.com/column/hamigaki5.html)
こちらのブログでも触れましたが、今回のブログ記事も『口臭』について触れたいと思います。
前回のブログでは、デンタルフロスやエンドタフトブラシを使って日々の口腔ケアにつとめることが、如何に口臭を防ぐことに直結するかということについてお話ししました。今回は、もう少し大きな視点で口臭予防について書いてみたいと思います。
『口臭』気になりますよね。
「あの人、息が臭い。」
「あ、いまの私の息、臭いかも。」
程度の差こそあれ、誰もがこのような場面に直面したことはあるのではないでしょうか?
実は、こんなデータがあります。2011年8月に、江崎グリコが「人との距離感覚に関する意識調査」というデータを発表しました。このデータによると、人との距離が近づいた時に不快に感じることは何?というアンケートの結果、第1位が口臭(83.3%)であるという数字です。
やはり、気されている方が多いんですね。
たかが口臭、されど口臭。
改めて自分の口臭ってどうなんだろう。生活している中で、人と接することは日常茶飯事です。考えいると、気になってしょうがなくなる方もいるかもしれませんね。また、気になる『口臭』ですが、臭っても人に直接言えない、言えないけど臭う….というジレンマに陥ります。
それでは、この『口臭』予防について、簡単にお話ししたいと思います。
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2病的口臭の多くは、むし歯や歯周病に起因するもの
前回のブログでは、『口臭』の原因は大きく3つに分けることができると説明しました。(詳しくはこちら::https://www.okano-do.com/column/hamigaki5.html)
それらは、1)食物由来の口臭、2)生理的口臭、3)病的口臭の3つです。最初のふたつについては、食べ物に気をつけたり口腔ケアをしっかりらることにより予防できると思います。難しいのが3つめの病的口臭です。そしてこの、病的口臭の原因の90%はむし歯や歯周病が起因するのです。。
口が臭いというと、昨日食べたものが影響しているのではないか?とか、内臓が悪くなっているのではないか?と、考えがちですが、むし歯や歯周病が原因になっていることも多いので、念のため検診を受けてチェックした方が良いかもしれません。
例えば、歯と歯の間にむし歯があり、そこに食べかす(食物残渣)が詰まって腐敗して口臭になっていることもあります。また、むし歯が大きくなり、歯の神経が死んで腐敗してしまい、根管から膿が漏れて口臭を起こしていることもあります。
また、歯周病が重症化すると、歯周ポケットが深くなってきます。そこに、膿がたまり口臭を発していることもあります。
さらに、詰め物・被せ物が隣の歯と上手く接触していないことにより、隙間が生じてしまい、食べかすが歯と歯の間に詰まって腐敗して『口臭』が発生しているケースもあります。また、歯周病により、歯肉が痩せて食片が入り込んでいたり、歯周病が進行することによって歯が動きやすくなり、歯と歯の間が開いて食べかすが歯と歯の間に挟まっていることもあります。
むし歯も歯周病も、『口臭』の原因となり得るのです。重症化すれば重症化するほど、口臭も強くなる可能性があります。
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3口腔内の環境が原因となる口臭
それでは、『口臭』を改善するために必要な、口腔内環境の整え方について説明していきます。
口臭の多くは、むし歯や歯周病が原因であり、お口の中に生息するバクテリアが関わっています。バクテリアは揮発性の物質(揮発性硫黄化合物)を作り出し、これが臭いの元となります。
そのため、口腔内の環境が原因となる口臭は、以下の3つが考えられます。
- 1)口腔内の衛生状態が悪い
- 2)重度のむし歯や歯周病
- 3)精度の低い詰め物や被せ物が入っている
そのため口臭の改善には、むし歯の治療、根管治療、歯周病治療、適切な口腔清掃(ブラッシング)、精度の高い(歯垢を落としやすい)詰め物・被せ物をすることが必要となります。
それでは、上記の3つについて下記に一つずつ解説していきます。
口腔内の衛生状態が悪い
ブラッシングが上手くできていないと、細菌の塊である歯垢がたまり、口臭の原因になります。これに加えて歯石がついていると更にお口の中の清掃が上手くい気にくくなったり、歯垢が溜まりやすくなったりするので、バクテリア(細菌)の繁殖を抑えることができにくくなります。それに伴い、歯周病も悪化し、病状が進行するとさらに口臭の原因となります。
重度の虫歯や歯周病
『口臭』の原因が歯周病だった場合、もう重症かもしれません。歯周病が重症化すると歯周ポケットが深くなります。そこに膿が溜まり口臭に繋がります。改善するためには、当然のごとく、歯周病の治療が必要です。膿が溜まるくらいポケットが深いときは、重症なことが多いので治療できずに抜歯になってしまう事もありますので、できるだけ早期の発見・治療が必要です。歯周病は、静かに進んできますので、定期検診を必ず受けていただきたいです。
また、むし歯が重症化すると、そこに入り込んだ食片が腐敗し口臭の原因になったり、更にむし歯が歯の神経に及ぶと、神経が腐敗して口臭の原因になることもあります。
精度の低い詰め物や被せ物が入っている
詰め物や被せ物の繋ぎ目の適合が悪いと、そこからむし歯が再発し、歯に穴が開いて、そこに食べかすが詰まり、そこで腐敗して口臭を起こしてくることもあります。重症な場合ですが、口臭につながることもありますので、詰め物や被せ物をした歯のむし歯の再発は、早期の治療をお勧めします。やはり、むし歯を再発させないため、歯垢の溜まりにくい適合の良い詰め物・被せ物が必要です。
4口臭を解決するために必要なこと
ここからは、口腔環境が原因で起こる口臭の具体的な解決策(改善法)について説明していきます。
1)口腔内の衛生状態が悪い場合
口臭を取るためには、まずお口の中を清潔にしてバクテリアを除去することです。歯科医師または歯科衛生士によるブラッシング指導、生活習慣指導により清掃性の向上を図ります。
更に、歯石が付いている場合は歯石を精確に除去することによってバクテリアの塊である歯垢を歯ブラシで落としやすくし、清掃性を上げることによって歯周病を改善し、その結果、口臭を抑えることができるのようになります。
つまり、お口の中を清掃しやすいような環境づくりをすることが、『口臭』を予防する事へ繋がるのです。
歯周ポケット内の歯根まで歯石の取り残しがないよう、高倍率(できれば治療用顕微鏡)で歯石除去をすることをおすすめします。
以下は、当医院で歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を用い、超音波スケーラーで歯石除去の除去を行った治療動画です。ここまで精密な歯石除去をしてはじめて、お口の中が清潔に保たれます。どうぞ、ご参考にしてください。
2)重度のむし歯や歯周病がある場合
重度のむし歯や歯周病がある場合、お口の清掃だけでは口臭の改善をすることはできません。重度の歯周病の場合には、バクテリアの毒素によって汚染されている歯周ポケット内の根の表面をできるだけ無毒化していきます。
具体的には、根の表面に付いている歯石を、機材を用いて除去します。場合によっては簡単な手術を行ったり、再生療法を行うこともあります。歯周病の治療が上手くいくと、歯周ポケットが浅くなり、バクテリアが溜まりにくくなり、口臭も改善します。
重度のむし歯は、むし歯治療が必要です。精度の高い詰め物・被せ物をして食片や歯垢を溜まりにくくします。また、むし歯が歯の神経に及んでいる場合は、歯の神経の治療(根管治療)をします。その時、治療用顕微鏡とCTを組み合わせた治療を受けられると根管治療の成功率が上がります。
3)精度の低い詰め物や被せ物が入っている場合
むし歯の治療は、精度が重要です。その精度はここでは詰め物や被せ物を元の歯にピッタリと合わせること(適合性)を指します。
実はこのことは見逃されがちですが、詰め物や被せ物がピッタリ合っていないと、その繋ぎ目にバクテリアが溜まってしまいます。繋ぎ目にバクテリアがたくさん溜まれば、それが原因でむし歯や歯周病になるでしょうし、口臭の原因にもなります。
実は、詰め物や被せ物の繋ぎ目をピッタリ合わせるのは非常に難しく、詰め物・被せ物治療が高倍率であればあるほど精度が上がります。できれば治療用顕微鏡で詰め物や被せ物をしている医院をお勧めします。
さらに詳しい説明は、下記のページを御覧ください。
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5まとめ
口腔環境が原因の口臭は、いずれもどこかに細菌が繁殖する場所があるという事です。そこを根絶すれば、口臭はなくなります。
きちんとしたむし歯や歯周病の治療も必要ですが、口臭の原因になる食べかす(食物残渣)や歯垢を落とすためにも、まずは日々の正確なプラークコントロールが非常に重要です。正しいケアの仕方がわかっていなければ、口腔疾患が原因の口臭は除去できません。
むし歯や歯周病の治療をして口臭が改善しない場合は、別の原因が考えられます。全身的な疾患が原因になっていることも考えられるので、必ず医科の医院にかかることをお勧めします。
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顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医・日本顕微鏡学会認定医
根管治療・顕微鏡歯科治療専門 歯科医岡野 眞