岡野歯科医院
根管治療・マイクロスコープ【武蔵小杉駅徒歩1分】完全予約制・自由診療TEL.044-711-8241
役立つ歯のコラム 役立つ歯のコラム

根管治療(歯の神経の治療)

根管とは

根管とは歯の中にある神経の通り道です。 根管の中を通っている歯の神経を歯髄と言います。歯髄は、主に神経組織や血管、結合組織などで構成されています。 歯髄は、周りを象牙質でとり囲まれており、歯髄内に存在する細胞成分への栄養供給、マクロファージ・白血球による防御機能、痛みなどの刺激の知覚・伝達、成長期または歯の完成後の象牙質の形成、第3象牙質形成による外来刺激からの防御などの役割があります。 歯の構造

根管の数や形態

歯の神経の通り道である根管は、それぞれの歯によって数や形態が異なります。根管の数は、平均的に前歯が1本、小臼歯が1本から2本、大臼歯が3本から4本です。個々の歯によって根管の形態も異なり、根管は単純な一本の管ではなく葉脈の様に網目状の非常に複雑な構造を呈していたり、大きく湾曲している事もあります。 また根管は、加齢や細菌感染、歯への物理的な刺激などにより根管の内側の壁に継続的に象牙質が添加され(作られ)、根管が細くなったり塞がってしまうこともあります。このように、根管の状態は個々の歯で様々であり、この根管の複雑さが根管治療の難易度を左右します。 右記の根管のイラストの赤いところが根管です。根管の形態は個々の歯で異なり、3次元的に複雑なことがあります。
レントゲン画像では、根管の複雑な構造を正確に把握することは難しく、CT画像による根管の3次元的な診断が根管治療をする際に非常に有効となります。

根管治療とは

むし歯が重症化すると、細菌が歯の神経(歯髄)に入り込み、夜も眠れないほど痛みが出ることがあります。そうなると、歯の神経を取らなければいけない状態になります。 細菌によって傷んだ歯の神経を取ることによって痛みを取り除き、根管内の細菌に感染した汚染物質をきれいに除去し、歯の神経の通り道である根管を根の先まで蓋をする処置を根管治療といいます。痛みが出るくらいの重症なむし歯でも、根管治療をすることにより再び歯を元通りに使うことができるようになります。このように、根管治療は歯科治療の中でも特に重要な治療の一つなのです。根管治療を疎かにすると、詰め物や被せ物をした後に再び歯が痛んだり、歯茎が膿んで腫れたりすることがあり、せっかく入れた詰め物や被せ物を外して、また根管治療からやり直しをしなければいけなくなります。更に、再根管治療されずに膿が長期にわたって存在していた場合、歯の根の外側にまで細菌感染が広がってしまい、根管治療では治りにくい膿にかわってしまう(根尖孔外感染を起こす)ことがあり、最悪は抜歯に至ることもあります。このように、根管治療は歯を長く使っていくためにのベースとなるとても大切な治療なのです。根管治療

根管治療の種類について

根管治療は、大まかに2つの種類の治療に分けられます。一つは、生きている歯髄が根管の中に存在し、その神経を歯から取り除く処置。この処置を抜髄と言います。もう一つは、生きている歯髄が根管の中に存在せず、細菌感染している根管の汚染を除去する処置です。この処置を感染根管治療と言います。

1抜髄(ばつずい)

抜髄とは、炎症を起こしている歯髄(神経組織や血管、結合組織などが含まれる部分)を根管から全て取り除き、細菌感染や歯髄損傷による歯髄の炎症が歯根の周りの組織に拡大するのを防ぐために行われる処置です。この処置も根管治療の中の1つです。 むし歯や歯の破折などにより歯髄に細菌感染が生じると、歯髄は炎症(歯髄炎)を起こします。歯髄は硬い象牙質にとり囲まれており、歯髄は炎症を起こしても腫れることができません。その結果、腫れることができないかわりに根管内の内圧が上がって神経組織が損傷を受け痛みが発生します。歯髄は血流に乏しい組織であるため、炎症によって強い損傷を受けると元の状態に戻ることができず、歯髄をとり除かなければ痛みが取れない状態になります。そして、 抜髄により歯髄を除去した後は、空洞になった根管を清掃・洗浄し、根管内で細菌が繁殖しないよう充填物で根管を封鎖して根管治療を完了します(根管充填)。 このように抜髄を行うことにより、歯髄炎による痛みはなくなり、歯根の周りへの炎症の波及も抑えることもでき、元通りに歯を使えるようになります。 また、便宜抜髄といって歯髄が炎症を起こしていなくても、詰め物や被せ物をする都合で歯を大きく削らなければいけない場合、抜髄が必要になることもあります。

2感染根管治療(かんせんこんかんちりょう)

感染根管治療が必要なケースは2つあります。一つは、むし歯や破折(歯に入ったヒビ)などから細菌が歯髄に侵入し歯髄炎を起こしたのち、歯髄が死んでしまい(壊死)根管全体が細菌感染してしまったケース。もう一つは、既に根管治療が行われているが治療自体が不完全な状態、もしくは根管治療完了後に根管が何らかの原因で再感染してしまったケースです。 むし歯や歯の破折などで歯髄炎が起こり歯髄が死んでしまうと、根の先まで細菌感染が及び、歯髄が壊死し根の周りに炎症を起こして膿んできます。治療としては、根管の中の死んで腐敗している歯髄組織を除去し、細菌感染で汚染された根管を隅々まで殺菌・消毒し、根管治療をすることにより根の周りにできた膿の改善を図ります。 それに対し、過去に行われた根管治療が不完全で根管に感染が残っている、もしくは根管治療されている歯にむし歯の再発が起こり、そこから根管に細菌が入り込み再感染してしまい根の周りに膿ができたケースの治療を再根管治療と言います。 再根管治療は、以前行われた根管治療において、根管の殺菌・消毒が不十分まま根管充填をして根管治療を終えてしまったり、根管治療完了後の詰め物・被せ物治療において歯とのつなぎ目の精度が悪く、そこに溜まった歯垢が原因でむし歯が再発し、歯の中に細菌が入り込み、根管が再汚染して根の周りに膿ができている時に行われる治療です。 いずれの場合も、根管の中の細菌感染によって腐敗した汚染物質や汚染された根管充填材の根管からの徹底的な除去が必要です。ただ、過去に行われた根管治療により根管にレッジと呼ばれる段差ができ、そこに治療器具がひっかってそれ以上入らなくなっていたり、根管が石灰化し塞がっていたりなど、根管の中の感染が残っている場所まで根管治療の器具が届きにくくなっていることも多く、再根管治療は通常の根管治療よりも治療の難易度が高くなるので、膿の改善には術者の熟練を要します。

根管治療が必要なケース

根管治療が必要になるケースはいくつかあります。 以下は、一般的な根管治療が検討されるケースです。

むし歯による歯髄の炎症

むし歯が原因で歯髄に細菌感染し、炎症を起こすことによって歯髄が強く損傷されると強い痛みを発し、詰め物などの通常のむし歯治療ではもう対処できず、抜髄と呼ばれる損傷した歯髄を除去する根管治療が必要になります。

歯髄壊死・歯髄壊疽

外傷や矯正治療、歯髄炎による局所の循環障害が原因で歯髄組織が壊死(歯髄が死んでしまっている状態)している場合や壊死した歯髄組織が腐敗菌に感染し歯髄壊疽を起こしている場合に根管治療が必要となります。

物理的刺激による歯髄の損傷

外傷など物理的あるいは熱刺激などが原因で歯髄が損傷を受けると、歯髄に炎症が起こり、痛みが生じたり歯髄が壊死してしまうことがあります。この場合も状況をよく精査し、必要に応じて根管治療を行います。

根尖性病変

根管への細菌感染により、歯根の周りに炎症を起こし膿などの根尖性病変がある場合、根管治療が必要になります。根管治療により根尖病変の改善を図りますが、非外科的歯内療法で治らない場合は、更に外科的歯内療法を行って根尖性病変を除去します。

根管治療の流れ

むし歯の除去と隔壁作成

01

隔壁作成むし歯が残っていると、そこから根管に細菌感染してしまう可能性がありますので、完全にむし歯を除去し、除去による歯の欠損を補うためにコンポジットレジンを用いて隔壁を作成しラバーダム防湿が設置できる状態にします。

ラバーダム防湿

02

ラバーダム防湿により、歯と口の中が隔絶されます。ラバーダム防湿をすることにより、根管治療中の根管への唾液などの侵入による細菌感染を防ぎます。また、ラバーダム防湿をすることにより、根管治療中の歯肉への薬剤の漏洩も防げるため、次亜塩素酸ナトリウムなどの適切な消毒剤を安全に使うことができるようになります。

根管内の汚染物質の除去

03

CT画像を参考にしながら、治療用顕微鏡を使って、ファイルなどの根管治療専用の器具を用い、根管の中の歯髄や腐敗した歯髄の取り残し、細菌感染で汚染された根管充填材などの汚染物質を根管内から完全に除去します。

根管の洗浄

04

さらに、消毒の薬剤で根管を隅々まで洗浄し、根管を殺菌・消毒し、さらに綺麗な状態にします。

根管充填

05

根管を根の先まで封鎖する根管充填を行います。適切な根管充填をすることにより、細菌が根管の中に埋葬・不活性化され根管のなかで繁殖することがもうできなくなります。根管充填後は、通常3〜6ヶ月の経過観察に入ります。

被せ物治療

06

支台築造・仮歯作成CTスキャンにて根管治療の経過が良好なのを確認したのち、根管に再感染しないよう治療用顕微鏡を用いて精密に被せ物治療を行い治療を完了します。

根管治療は、歯科治療のなかでも特に難しい治療の一つ

根管治療はなぜ失敗が多いのか

根管治療は細菌感染によって痛んだ神経を取り、根管内の汚染物質をきれいに取り除いたうえで、歯の神経の通り道に蓋をする治療です。前にも述べた通り、歯の土台に関わる治療であり、歯を長く快適に使うためにとても大事な治療です。 しかし、時に根管治療が上手くいかない事があります。 根管治療を行ったのにもかかわらず、治療後に痛みや歯茎の腫れが再発することがあるのです。根管治療で神経をとっているのに何故だろう?と思われるかもしれません。それは、根管の中は細く暗く肉眼やルーペではよく見えないために、また、歯根の中で根管は大きく湾曲していたり枝分かれしたりして複雑になっていることがあり、治療時に、その複雑性に対応できずに根管のどこかに取りきれなかった神経が残ってしまい腐敗していることがあるのです。 根管治療が完了した直後には痛みや歯茎の腫れが無かったたとしても、根管の殺菌や消毒が不十分だと、実際には根管の中に細菌に汚染され腐敗した感染源が残ってしまいます。また、根管治療ではラバーダム防湿という根管治療で行われるべき感染対策も重要です。ラバーダム防湿をせず、根管治療中に唾液や歯肉からの浸出液と一緒に細菌が根管に入り込んでしまっては、根管をいくら清掃してもまた汚染されてしまいます。これらが原因で、歯根の周りに炎症が起こり、治療したのにもかかわらず再び歯が痛んだり、歯茎が膿んで腫れたりしてきます。

根管治療は術者の経験と技量に結果が左右される

根管治療は、なぜ治らないのかというと、根管治療が成功するよう、なすべきことができていないからです。 例えば、

  • 根管の中が見えておらず、腐敗した神経の死骸などの細菌感染が根管内に残してしまっているのに気づいていない。→CTで根管の走行を事前に確認できていない。根管内を高倍率で顕微鏡で見ながら治療していない。
  • 根管治療中に、根管への細菌感染の防御が行われていない。→根管治療中にラバーダム防湿をしていない。
  • 根管治療完了後に、根管への細菌感染の防御が行われていない。→根管治療後に適合性の良い詰め物・被せ物がされていない。

等が挙げられます。いずれにしても、根管治療は術者がどういう治療をするかによって、特に予後に影響が出やすい治療なのです。

根管治療は、やり直す度に成功率が下がる

根管治療は一回目(初回)の治療が実は重要一回目の根管治療が上手くいかなかった場合、せっかく入れた被せ物を壊して外し、根管治療をまたやり直さなければなりません(これを、再根管治療といいます)。そして、何度も再根管治療を繰り返しても上手くいかずに、結局、痛みや歯茎の膿や腫れがいつまでたってもとれない可能性もあります。 実は再根管治療は、やり直しをするたびに、前回の根管治療より治す条件が悪くなります。 そして、再治療しても治らずやり直し、再々治療してもまた治らずやり直し、のサイクルに入っていきます。根管治療は『ダメならやり直せばいいと安易に考えない方が良い』のです。このように根管治療は、治療を何度やり直しても膿が治らず悩ませられるようになることも多いので、根管治療はできれば治療する条件が良い治りやすい最初の段階で成功させることが重要です。根管治療は、広く行われている歯科治療ですが歯科医院の得手不得手が出やすい治療です。根管治療を受けるにあたって、内科、耳鼻科、皮膚科などと同じように、その歯科医院が根管治療にどのような技術を持っているかも重要になってきます。

低い、日本の根管治療の成功率

興味深いデータがあります。 以下は、東京医科歯科大学の歯内療法学講座(歯の神経の治療の講座)のデータで、東京医科歯科大学むし歯外来での根管治療のX線(レントゲン)透過像調査(神経の治療の失敗率)のグラフです。根管処置歯における根尖部X線透過像の発現率とは、根管治療した後の根の先の膿の発現率のことです。 根管治療の再治療 ▲根管治療のX線(レントゲン)透過像調査(神経の治療の失敗率)のグラフ 根管治療後に根の先に膿があるという事は、根管治療をしたのに治っていないという状況です。 上記のデータでは、50〜70%の症例で膿が確認されています。 このデータから、日本における根管治療の成功率は30〜50%程度であるということが分かります。 それに対しアメリカでの根管治療の成功率は90〜95%と言われています。

かなりショッキングな数値ではないでしょうか? しかし、残念ながらこれが現実なのです。

根管治療の成功率を上げるために必要なこと

根管治療の成功率を上げるためには、以下の条件を最低限満たして治療することが必要なのです。 (詳しくは「日本における根管治療の成功率について」のページを御覧ください。詳しく解説しています。)

  • 根管内を拡大視できる治療用顕微鏡を使用すること。
  • 唾液に含まれる細菌を根管に入れこまないためにも、ラバーダム防湿を行うこと。
  • CTによる根管の三次元的な解析をすること。
  • 根管治療に必要な時間を十分にとること。
  • 根管への再感染を防ぐため、根管治療後に精度の高い被せ物をいれること。

根管治療の成功率を上げるために、当院では上記の1〜5について、全て治療に取り入れています。また、成功率を上げる要因としては、歯科医師の治療技術や経験も大きく影響します。 では、当院で行っている根管治療について、以下に詳しく説明したいと思います。

当医院の根管治療

1十分な治療時間を確保しています

手術用顕微鏡(マイクロスコープ)岡野歯科医院では、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いて根管内を30倍まで拡大して見ることで、複雑な根管の内部をはっきり見ながら根管治療を行います。肉眼や拡大鏡(ルーペ)での治療で行われる、手指の感覚や勘(かん)に頼る治療ではなく、顕微鏡を使い目視で根管の状況を確認しながら、確実に根管治療を進めていきます。 顕微鏡を使った根管治療は、肉眼や拡大鏡(ルーペ)では見えない状況が見え、根管内の感染物質の取り残しや枝分かれした細い根管の見落としなどが減るので、治療の成功率が上がります。 但し、治療の不備が良く見えるようになるので、なすべき治療工程が増えるため、肉眼や拡大鏡(ルーペ)による治療に比べて治療時間は格段にかかります。 元々、保険治療で行う根管治療は、全ての工程で歯科用顕微鏡を使う事を前提にしていません。 そのため、保険治療下では必要な治療時間をとることはできないのが現状です。 どんな名医であっても、急いで治療をすればミスも増えます。1回の治療で十分な治療時間をとり、余裕をもって治療することが、成功率を上げるためには必要な事なのです。 十分な治療時間を確保することは、患者さんのために最もやらなければならない事と考えています。 当医院では、1日の治療人数を制限し、お一人につき1〜2時間の治療時間を確保しています。

2マイクロスコープを治療の全工程で使用します

根管治療(歯の神経の治療)の成否は、いかに根管を清潔な状態にできたかにかかっています。 そのため、当院では根管治療におけるすべての工程で、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いて治療を行います。 特に、高度な技術を要する歯の神経の治療のやりなおし(以下、再根管治療)は、慎重に治療を行う必要があります。再根管治療では、根管につめてある材料(根管充填材)の残骸に阻まれ、根管の中で繁殖している細菌の除去は困難を極めます。 当院では、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用し、根管の中を30倍まで拡大視しながら治療することで、根管の中の汚染物質を取り残しのないようにきれいに除去し、細菌感染を根管から徹底的に取り除くことにより治療の成功率を上げています。 歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)で細部を確認しながら治療をすると、見落とされていた未治療の根管を見つけたり、過去に治療した際に折れ込んだと思われる器具の破片(破折ファイル)などを見つけることもあります。取り残した汚染物質や、不完全な根管治療、取り残された器具の破片などを根管内にそのままにしておくと、後から痛みが発生したり膿ができる原因になる可能性があるので、当医院では根管内を最大倍率で見続けながら注意深く治療していきます。根管の中

3必ずラバーダム防湿を行います

当院では、根管治療時に唾液から根管への細菌感染を防止するため、また根管治療に適切な消毒剤を安全に使うために、必ずラバーダム防湿を行います。 また、再感染を防ぐためにも、根管治療で使うファイルと言う器具も患者さん毎に滅菌された新しい器具を使います。 唾液中には、たくさんの細菌がいます。 ラバーダム防湿など、清潔な環境で治療しなければ、さらに、根管内に細菌を押し込みかねません。 詳しくは、ラバーダム防湿のページをご覧ください。 ラバーダム防湿について詳しく

ラバーダム防湿により、患部に唾液が入ってきません。

ラバーダム防湿により、患部に唾液が入ってきません。

ラバーダム防湿により、歯と口の中が隔絶されます。

ラバーダム防湿により、歯と口の中が隔絶されます。

4CTを用いて診断します

人の歯の根管(歯の神経の通り道)は一本の単純な管ではなく、歯根の中で複雑に枝分かれしたり、色々な方向へ湾曲していたりします。また、根管に石灰沈着があると、マイクロスコープで見ても見えない位に根管が細くなっていたり、完全に根管が塞がっていたりします。 このように、根管治療は根管の状況によって困難を極めることも多く、根管の中に入り込んだ細菌を除去できずに根尖病変(根の周りの膿)が治らない事も多いのです。 実は、レントゲン写真では、正しい根管の形や根の周りにある膿の有無すら判断するのは難しいことが多々あり、立体的に歯根や根管の形態を把握したり、根尖病巣の有無や大きさを正確に判断するためには、CT画像による診断無しには不可能と言っても過言ではありません。 当医院では、全ての根管治療(歯の神経の治療)で、最新のCTスキャンにより根尖病巣や根管形態を確認してから治療することで、根管治療の成功率※を高めています。 下の画像は初診時の、レントゲン(左)とCTスキャン(右)画像です。 CTの重要性 レントゲンは一方向から写すため、被写体が重なって肝心なところが視えにくくなってしまう事も多いのですが、CTは一つの歯に対し、見たい部分を3方向から3次元的に詳しく視ることができます。レントゲン画像と異なり、重なった画像にならないので、それぞれの根の状態をより正確に精査する事ができます。 赤い矢印の先に見える黒い影が根尖病巣です。青い矢印の先に見える白い像は、上から見た歯の神経の通り道の詰め物です。 神経の通り道が三本あるのがわかります。レントゲンでは根管が2本に見えてもCTで確認すると根管が3本あることがはっきりわかります。CT画像では、過去に行われた治療では歯の根の先まで白い神経の詰め物がされていないのがわかります。 また、レントゲンでは見えなかった根尖病巣の影の画像がはっきり確認できます。 当医院では、初診時にCT画像で患部を確認します。そこで、根管充填が根の先まで足りているか、また膿の大きさや根管の形態などの状況を確認してから根管治療を開始しています。

5被せ物の精度(適合性)を高いものにしています

たとえ根管治療が成功したとしても歯と被せ物との間に隙間が開いている(被せ物の精度が悪い)と、その隙間から細菌が歯の中に侵入して、歯の根の周りに膿を作ることが報告されています。これをコロナルリーケージといいます。 下の図は被せ物の精度(適合性)が根管治療の成功率にどう影響しているかという研究です。

クラウンの精度と根管治療の成功率

根管治療 被せ物の精度 成功率
良い 良い 91.4%
悪い 良い 67.6%
良い 悪い 44.1%
悪い 悪い 18.1%

(Ray HA.Trope M.Int Endod J;1995 Jan;288(1):12-8)

根管の中

このデータを以下に解説します。( ※根管治療が上手くいっている状態:根の先まできちんと根管充填がされていること ※被せ物の精度が良い状態:歯と被せ物との間に隙間がないこと ) 1. 根管治療が上手くいっていて、被せ物の精度が良いと根管治療の成功率が一番高い。 2. 根管治療が上手くいっていても、被せ物の精度が悪い方が、根管治療が不完全で被せ物の精度が良い方より、根管治療の成功率が低い。 これは、被せ物をかぶせた後で、歯と被せ物との繋ぎ目の隙間から細菌が根管に入り込んでコロナルリーケージを起こしている状態であると考えられます。 そして、現在、ファイバーコアという樹脂(コンポジットレジン)を使用した土台作りが主要になってきていますが、コンポジットレジンは硬化時の収縮量が大きく、ダイレクトにコンポジットレジンで土台作りをした場合、コンポジットレジンの収縮により歯根との間の接着が剥がれ、隙間ができやすい事が指摘されるようになってきています。それにより、ファイバーコアは細菌の侵入を完全に阻止できないことが考えられるのです。要するに、コンポジットレジンで土台を作った場合は、歯との間に隙間ができてしまい、根管に細菌が侵入し、再感染し汚染されてしまう可能性があるということです。 また、根管治療で殺菌・消毒が終わった根管を歯根の先まで封鎖する事を根管充填と言います。 根管充填で一般的に使われている根管充填材(根管の詰め物)は、根管を蓋する材料にも関わらず、根管充填後に再び根管に入り込んできた細菌を完全に阻止することがでできません。そのため、綺麗に清掃したはずの根管が、後から入り込んできた細菌によって再汚染してしまう危険があります。 これらを防止するためには、徹底して根管治療後の再感染を防ぐ事が必要になります。 そのためには、被せ物と歯のつなぎ目をピッタリ合わせ、入り口から細菌の侵入を防ぐしかありません。 根管治療の成功率※を上げるためには、根管治療を終わらせた後の被せ物は、歯と被せ物との繋ぎめから細菌が入り込まなうように最大限の精度が必要なのです。詰め物や被せ物がいかに歯にピッタリ合っているかを適合性といいます。当医院では、根管治療を終えた後の被せ物は、顕微鏡下で治療することにより根管に再感染させないよう、世界のトップレベルの精度で歯と被せ物の繋ぎめをフィットさせています。適合性について更に詳しく

6破折ファイルを確実に除去しています

根管治療では『ファイル』という細い針のような器具を使用して根管内の治療をします。 このファイルは金属でできており、まれに根管の中で折れてしまうことがあります。 折れた破片が残ったまま、根管を封鎖してしまうこともあり、折れ込んだファイルが原因で、そこから先の根管内の治療ができずに根管に汚染物質がのこり、それが原因で化膿や痛みを起こすこともあります。 この場合は、根管内に折れ込んで根管を塞いでいるファイルを除去し、根の先まで殺菌・消毒し直す必要があります。 しかし、根管内は狭く暗くいため、肉眼や拡大鏡(ルーペ)で破折したファイルを見つけ除去することは困難です。 当院ではCTスキャンで破折ファイルの位置や長さなど状況を詳しく把握したうえで、根管内をマイクロスコープで拡大視して治療し、破折ファイル除去の成功率の高めています。

破切ファイル除去の動画

YouTube 岡野歯科チャンネル

7パーフォレーシヨンリペア(根管壁穿孔の封鎖)を行います

根管から根の壁を突き抜けて穴があいている状態をパーフォレーションといいます。 パーフォレーションを起こすと、穿孔部(根の壁を突き抜けて穴が開いている部分)から細菌が入り込み、歯茎が化膿したり腫れたりすることがあります。 そのため、穿孔部を適切に封鎖できなければ、歯を使っていくことができないため抜歯になってしまいます。 穿孔部は歯茎と交通しており、穿孔部から根管の中に肉芽組織が入り込んでいたり、出血していることも多いので、穿孔部の確実な封鎖は困難を極めます。 当院では、穿孔部をマイクロスコープで確認し、入り込んでいる肉芽の除去や止血を確認しながら、MTAセメント(封鎖の材料として最適といわれています)を用いて確実に封鎖します。

血液のあるところがパーフォレーションです。

血液のあるところがパーフォレーションです。

パーフォレーション部をMTAセメントで封鎖しました。

パーフォレーション部をMTAセメントで封鎖しました。

岡野歯科医院で行ったパーフォレーションリペアの実際の動画

YouTube 岡野歯科チャンネル

8最適な材料での根管充填

MTAセメント根管治療の最終段階で使用する根管充填材や充填方法は、現在、根管充填材として最も適しているMTAセメントを使用しています。 根管充填材とは、根管充填を行う際に根管内を緊密に封鎖するために使用される材料のことです。いろいろな種類があり、保険治療ではガッタパーチャという天然ゴム(樹脂)性のものが最も多く使用されています。 しかし、当医院ではMTAセメントを使用しています。

MTAセメント充填前

MTAセメント充填前

根管充填材として最も適していると言われているMTAセメントで根管充填しました

根管充填材として最も適していると言われているMTAセメントで根管充填しました。

一般的に使われているガッタパーチャは歯との接着性が無く、コア(土台)を作る時に、ガッタパーチャがめくれたり、外れてきてしまうことがあります。 それに対してMTAセメントは歯との接着性があるため、めくれたり、外れてくることはありません。剥がれたりすれば、そこから感染することも考えられますので、当医院では土台作成時の感染リスクを極力低くするため、MTAセメントで根管充填をしています。 ガッタパーチャは、根管充填後にひとたび細菌感染すると、細菌の侵入を阻止することができず、細菌が根管の先まで入り込むことができます。また、根管に細菌感染があると、ガッタパーチャーの周りで細菌がはびこりやすいこともわかっています。 MTAセメントはガッタパーチャとは違い、根管充填後も強アルカリを保ち、根管内を殺菌し続けてくれます。 また、生体親和性が高いこともMTAセメントの特徴の一つです。歯の根からMTAセメントが飛び出していてもガッタパーチャとは違い異物反応が起きにくいので根管治療の成功率※が上がります。 当医院のブログでも何度も根管治療時の再感染については触れています。

9根尖孔外感染と歯根嚢胞の治療

根管治療(非外科的歯内療法)では治らない根の先の炎症(根尖病変)があります。その中に、根尖孔外感染と歯根嚢胞があります。根尖孔外感染とは、細菌が神経の通り道である根管を経て歯根の外に出て、歯根の外側で細菌感染が広がっている状態です。歯根嚢胞は、根管の細菌感染が原因で慢性的に歯根の外側に炎症が生じることにより、歯根の先に病的な空洞ができている状態です。
いずれも根管の外側で細菌がはびこっている状況であり、通常の根管治療(非外科的歯内療法)では根の外側にいる細菌を除去する事ができないために感染を除去することが難しく、一般的には小手術(外科的歯内療法)による治療が行われます。ただ、当医院では、可能な限り治療用顕微鏡を用いた非外科的歯内療法で治癒させることをまずは目指します。同様に外科的歯内療法においても治療用顕微鏡を用いて手術を行うことにより、患部の状態をより見えやすくすることで手術の成功率を高めます。

10歯内歯周病変の治療

歯根の周りにできる難治性の炎症の一つに歯内歯周病変があります。根管の細菌感染が原因で起こる根尖病変(根尖性歯周炎)と歯周病(辺縁性歯周炎)が併発している状態で、歯周ポケットの入口から歯根の先端まで歯根を取り巻くように大きな歯槽骨の欠損を生じます。

  1. 歯周病が重症化し歯周ポケットが歯根の先まで深くなり、根管に細菌感染がおきて歯髄壊疽になり根尖病変を併発したケース
  2. 根尖病変が大きくなり歯周病様の症状を起こしているケース
  3. 歯周病と根尖病変のそれぞれが同時に進行して合併したケース

があり、特に1と3が原因の場合、根管治療のみならず重症な歯周病の治療が必要になることが多く、一般的に治療の難易度が上がるため、難治性と診断されて抜歯される確率が高くなります。
当医院では根管治療のみならず、歯周病治療にも治療用顕微鏡を用いて歯周病治療の成功率を上げることにより、歯内歯周病変の治療も積極的に行っています。

CT画像の矢印の先に歯根を取り巻くように黒い歯槽骨吸収の影が見られ、根尖病変と歯周病が合併している状態です

CT画像の矢印の先に歯根を取り巻くように黒い歯槽骨吸収の影が見られ、根尖病変と歯周病が合併している状態です

11外科的歯内療法について

外科的歯内療法は、通常の根管治療(非外科的歯内療法)では十分な治癒が望めなかった場合に行われる小手術です。主に以下の場合が外科的歯内療法の適応になります。

  1. 根管の形態が複雑で非外科的歯内療法による根管の完全な清掃・殺菌・消毒が困難または不可能である場合
  2. 根管由来の細菌感染が原因で歯根の外側表面に感染源が存在しており根管を経由した治療では歯根の外にある細菌感染の除去ができない場合
  3. 根管の石灰化による閉塞や根管に治療器具の破折片(破折ファイル)が存在し、根管を経由した通常の根管治療が不可能な場合
  4. 歯根の吸収があり、根管治療では対応できない場合
  5. 被せ物治療が行われたあとに根尖病変が再発し、被せ物や支台築造(土台)を撤去することができない場合
  6. 根管治療では改善することができない根管壁の穿孔(パーフォレーション)や歯根破折がある場合

などで必要になります。

外科的歯内療法には、歯根尖切除術と意図的再植術があります。
歯根尖切除術は、歯茎を切開し根を露出させ根尖部を切除し、更に根の周りの病変を取り除くことにより感染源を除去して、歯を保存する方法です。また、必要に応じて根尖部を切除した後に根尖方向から根管形成を行い、MTAセメントで根管充填します。
意図的再植術は、歯を一度抜歯し、口腔外で感染の原因となっている歯根の部分を取り除き再び歯が植わっていた元のところに戻す方法です。歯根尖切除術が解剖学的な理由によって行えない場合に行われます。

外科的歯内療法の非適応症

歯根が上顎洞やオトガイ孔などに近接している場合、大臼歯など根尖への外科的な到達が物理的に困難な場合、歯根が短いあるいは歯周病が進行し根尖を切除すると歯を支える力が足りなくなる場合などがあります。

顕微鏡を使った外科的歯内療法のメリット

当院では、外科的歯内療法においても治療用顕微鏡を使います。顕微鏡を用いた外科的歯内療法の最大のメリットはなによりも「患部の強拡大視」ができるということです。
従来の外科的歯内療法は肉眼や拡大鏡による手術が行われており術者の感覚や経験に依存する事が多く、なおかつ感染の取り残しを防止するために健全な組織を多く除去する事があります。
一方で顕微鏡は高倍率による拡大、更に術野の強い照明によって手術時に根管治療を失敗させたイスムスなどの根管の複雑な形態など、細菌感染の見逃しを防止する事ができます。また、術野を高倍率で観察し顕微鏡外科手術専用の器具を用いることによって手術中の組織の損傷を最小限に抑え健全な組織を保存する事もできます。
顕微鏡を用いた外科的歯内療法は従来行われている外科手術よりも全ての工程において正確かつ精密であり、治癒にも差が出ているとの文献も存在します。

参考文献Frank C. Setzer et al. Outcome of Endodontic Surgery: A Meta-analysis of the Literature—Part 1: Comparison of Traditional Root-end Surgery and Endodontic Microsurgery. J Endod 2010 Nov.

1.通法通り根管治療をしても、根尖病変が治らなかったケース
2.歯肉剥離及び歯槽骨削除をし、根尖病変を露出
3.根尖病変の除去
4.歯根の先を削除し、歯根尖の感染を除去
5.歯根の先の根管充填材を除去します
6.生体親和性の高い材料による根尖の封鎖
7.縫合し傷を閉じる
8.根尖病変の消失と歯槽骨の再生

12治療の可視化

根管内の状況を少しでも正確に把握し、適切な治療を行うことにより、抜歯と宣告された歯でも残すことが可能になるかもしれません。 肉眼やルーペでは対応できない問題も、顕微鏡治療により解決できることも多いです。 顕微鏡(マイクロスコープ)を使用した根管治療は、手探りや勘ではなく、確実に目視で確認しながら治療します。そのためには、マイクロスコープ用に考案された治療器具や治療方法が必要となり、更にマイクロスコープや専用の治療器具を使いこなす治療技術も欠かすことはできません。 以上のように、岡野歯科医院では根管治療の成功率※の上げるために、様々な努力を行っています。また、マイクロスコープにはCCDカメラが備わっており、顕微鏡を通して治療過程をHDDに記録し、毎回治療後にモニターで治療の動画を再生しながらその日に行った治療や根管の状態をわかりやすく説明しています。 きちんと、マイクロスコープを使い、さらに高倍率で視認しながら治療しているかは、治療後に動画を再生して患部を拡大して見せながら説明できるかが証拠になるのです。 当医院の医院長が認定を受けている顕微鏡歯科ネットワークジャパンでは、治療後に動画での説明を義務づけています。 マイクロスコープは正しく使えば、歯科治療において非常に効果の高い治療機材です。顕微鏡歯科治療は、間違いのない顕微鏡治療を行っている歯科医院で治療を受けることをお勧めします。

毎回、その場で画像を再生して状態を説明します

毎回、その場で画像を再生して状態を説明します

モニターに録画したお口の中の画像を映すことができます。

モニターに録画したお口の中の画像を映すことができます。

料金表

カウンセリング (内容) ・顕微鏡による、むし歯・歯周病審査など ・レントゲン撮影 ¥11,000
精密根管治療 前歯 ¥132,000〜
小臼歯 ¥154,000〜
大臼歯 ¥176,000〜

※CT撮影は別途 33,000円がかかります。(初回のみ11,000円で撮影します)

※詰め物・被せ物除去は別途費用が掛かります。

※各種クレジットカードでお支払いいただけます。

「根管治療の成功率」データ根拠

正しく知ってほしい!
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