根管治療をした歯が咬むと痛い！考えられる原因は？

記事概要

当医院では、根管治療をした歯に問題を抱えた方が多く来院します。
根管治療をした歯が咬むと痛い！その歯が大丈夫なのか不安になりますよね。

当医院は、顕微鏡歯科治療専門の歯科医院です。2010年より、むし歯治療（詰め物・被せ物）、根管治療、歯周病治療、抜歯などの口腔外科手術、定期検診など、全ての治療に歯科用顕微鏡を使用し、治療の成功率を高めてきました。長年、歯科用顕微鏡を使って治療してきた結果、治療成功率の高さ、予後の良さを日々実感しています。皆さんのお悩みを真剣に解決するため、これまで蓄積してきた顕微鏡歯科治療の知識と技術をもって貢献したいと思っています。

実は根管治療後、咬むと痛みが出ることがあります。根管治療してあるのに何故痛くなるのだろう？

この記事では、『根管治療をした歯が、何故、痛くなったのか』、その理由と解決法について分かりやすく解説します。

当院は、長年にわたり根管治療の成功率を高めるため、顕微鏡歯科治療を突き詰めてきました。この記事は、皆さんの悩みの解決に関して、顕微鏡歯科治療ならではの視点に基づいて書いてみました。
まさに今、根管治療した歯が痛んで悩んでいる方もいると思います。この記事を参考にしていただき、解決に役だてていただけたらと思っています。

咬んだ時の痛みが起こるのは、そこで何が起きている？
そもそも、咬んだ時に痛みがあるのはその歯に炎症があるからです。ただ、炎症が起こるには何らかの原因があります。その原因をつきとめ、治療することで痛みの消失を図れるかもしれません。

根管治療をした歯が咬むと痛い。考えられる主な原因は？

1残髄炎（歯の神経の炎症）

むし歯や歯の破折などにより歯髄に細菌感染が生じると、歯髄は炎症（歯髄炎）を起こし痛みがでます。その場合、歯髄炎を起こしている歯髄を除去し、痛みを鎮静化させます（根管治療）。その時、歯髄が完全に取り除けていないことがあり、残った歯髄が歯髄炎を起こし（残髄炎）、その炎症が歯根の外まで波及し、歯根膜炎を起こします。それにより、咬んだ時の痛みが生じることがあります。
治療としては、歯髄炎を起こしている取り残された歯髄を除去し（再根管治療）、歯根膜炎を鎮静化し咬合痛を減じます。但し、歯の神経の通り道である根管は複雑なことがあり、歯髄の取り残しをまたしないよう、CT撮影や歯科用顕微鏡を使い歯髄の取り残しを完全に除去することが必要です。再根管治療が成功しないと、また痛みが再発するかもしれないからです。

2根尖性歯周炎（根尖病変）

むし歯などの原因で壊死した歯髄に細菌感染した場合、もしくは根管治療時に根管に細菌感染が残ってしまった場合などで、歯根の周りに炎症を起こし、咬んだ時の痛みを生じさせます。
治療としては、根管治療、もしくは外科的歯内療法を行います。治療の成功率を上げるためには、残髄炎の治療と同様にCT撮影と歯科用顕微鏡による治療が必要です。根管は皆さんが想像する以上に複雑です。特に根管治療のやり直しは難易度が高く、一般的に成功率が下がるので注意が必要です。

3パーホレーション

神経の通り道である根管の壁に『穴が開いている状態』をパーホレーションと言います。
通常は、何らかの原因（根管治療や土台作成など）で根管壁を人為的に削ることにより偶発的に起こります。パーホレーシ部から根管の外に細菌感染が起こり、歯根の周りに炎症を起こして咬んだ時の痛みが起こります。
治療としては、パーホレーション部を適切に封鎖し、歯根の周りの炎症を改善し、痛みを鎮静化します。

4歯根破折

根管治療により歯髄をとられた歯は、耐久性が落ちるため歯根破折を起こしやすくなります。歯根破折を起こすと破折した部分から細菌が入り込み、歯根の周りに炎症を起こして咬んだ時の痛みを生じます。
治療としては、抜歯、もしくは部分抜歯をします。

5咬合性外傷

歯ぎしりなどの咬合の負担で、歯根膜を痛めて咬合痛が起こることがあります。神経をとられている歯は、咬みあわせの力を感じるセンサーが鈍くなっており、より強い咬合力がかかりやすく、歯根膜を痛めやすくなります。
治療としては、咬みあわせの調整、もしくはナイトガードによる咬合負担の減少を図り、咬合痛を軽減させます。

根管治療した歯に咬んだ時の痛みが出た場合、以上のような原因が主に考えられます。根管治療自体に問題があるケースと根管治療以外の原因で痛んでいることが考えられますので、当医院ではCT撮影と歯科用顕微鏡を使って、できるだけ正確な診断をするよう心がけています。