1初めに

当医院は、根管治療をはじめマイクロスコープを用いた精密治療専門の医院です。歯茎が腫れて痛くなり、かかりつけの医院で抜歯と言われた。原因が知りたい、治療をして欲しいという患者さんが多くいらっしゃいます。歯茎が腫れて痛くなっている方の中には、根管治療が失敗されている方もいるのですが、その他に根管治療自体に問題があるのではなく、歯が割れている方がいます。
根管治療が失敗している場合は、再根管治療をすれば歯茎の腫れや痛みは治る可能性がありますが、歯根破折している場合は抜歯が一般的な処置です。
つまり、抜歯にならないようにするためには、歯が割れないようにすることが重要なのです。当医院で行っている破折予防についてお伝えしたいと思います。

2歯が割れる原因は？

歯が割れる原因は大別して二つあります。一つは、その歯に割れるような過剰な力を加える側の原因（ブラキシズム）。もう一つは、その力を受ける歯の側の原因です（不適合な詰め物・被せ物）。

過剰な力を加える方の原因で多いのは、歯ぎしり・食いしばりです。専門的には、ブラキシズムと言います。ブラキシズムは、寝ている間に歯をキリキリとこすり合わせていることと思われている方も多いかと思いますが、それだけではなく、こすり合わせずにグッと咬みしめる行為もブラキシズムの一つです。ご本人が気づかれていないブラキシズムは、このタイプが多いです。
ブラキシズムは、「正常な機能とはいえない咀嚼活動や上下歯が接触する顎運動」と定義されています。わかりやすく言うと、食べ物を咬んでいる時以外の上下の歯の接触行為のことです。本来、人間は食べ物を咬むとき以外は歯と歯の間に1-2mm程度の隙間があります。そのため、一日のほとんどは歯と歯は接触していないのが正常です。しかしブラキシズムがある方は、咀嚼以外でも歯を合わせているということですね。
ブラキシズムには、就寝時に行われる睡眠時ブラキシズムと起きている時に行われる覚醒時ブラキシズムがあります。睡眠時ブラキシズムは、１回に７〜10秒、１時間に４〜５回行われ、起きている時に思いっきり咬んでいる以上の力で噛みしめていると言われています。このように、私たちが起きている時に咀嚼で行う咬合力とは比較にならないほどの強い力が歯にかかり、歯が割れる誘因となっていることが考えられます。

次に、咬合力を受ける歯の側の原因としては、歯の強度が影響します。そして、歯の強度に大きな影響を及ぼすのが歯の神経です。歯の神経をとる処置を抜髄と言います。抜髄された歯は、歯の神経をとるために歯を大きく削られています。歯の神経を綺麗にとり抜髄を成功させるために便宜的に歯を削らざるを得ないのです。ただ、削られると歯は当然薄くなるので、歯にかかる咬合力に対して強度が落ち割れやすくなるのです。

以上が主な原因として考えられます。このことから、逆に歯が割れ抜歯にならないようにするためにはどうするべきかを考えたいと思います。

3歯が割れないための予防と対策

歯が割れないようにするためには、原因に対して対策をしていきます。
歯に割れるような過剰な力を加える側の原因であるブラキシズムへの対策としては、

1. ①ブラキシズム対策のマウスピースを夜間つける。寝ている間は意識が無いので、ご自身ではブラキシズムに気を付けようがありません。マウスピースは、歯や歯周組織、顎関節に過度な負担が集中するのを軽減してくれます。
2. ②ブラキシズムを悪化させる薬物や嗜好品、飲酒、喫煙に気を付けるようにしましょう。特に薬物に関しては医師・歯科医師の指導を受けてコントロールするべきです。薬物の変更が必要になることもあります。
3. ③ストレスの掛かりそうなイベントをチェックしましょう。生きていく上でストレスの無い環境はあり得ませんが、例えばスポーツなどの運動がブラキシズムのきっかけになることがあります。
4. ④覚醒時に起こる昼間のブラキシズム（TCH）は、無意識にしている事が多いようです。
   何かに集中している時、例えばパソコンをしている時、テレビを見ている時、料理を作っている時など無意識に行います。こういう場合は、起きている時は意識がありますので、努めて咬まないように気をつけてください。
5. ⑤定期的な歯科検診を怠らないようにする事も必要です。歯科検診によって、ご自身で気が付けないブラキシズムの影響を早期に察知する事ができるかもしれません。

咬合力を受ける歯の側の対策としては、

1. 歯の強度を失わないようにすることです。

具体的には、

1. ①歯の神経をとらないようにすることが重要になります。
   歯の神経をとらなければいけない原因のほとんどは重症なむし歯です。
2. ②むし歯治療後は再発させない。
   そして、重症なむし歯に発展しやすいのがむし歯治療後のむし歯の再発です。詰め物や被せ物をした後にむし歯が再発すると、もうすでに大きく削られているので、むし歯が歯の奥深くまで進行し重症化しやすいのです。歯の奥深くまで進行すれば、行きつく先には歯の神経があり、細菌感染によって抜髄しなければいけなくなります。
3. ③再発させないためには、適合の良い詰め物被せ物をすること
   元をたどると抜髄の原因は、詰め物・被せ物治療後のむし歯の再発です。そのむし歯の再発には、詰め物・被せ物の歯との繋ぎ目のフィット大きく影響します。詰め物・被せ物の歯との繋ぎ目のフィットのことを適合と言います。詰め物・被せ物の歯との繋ぎ目が隙間や段差なくピッタリ合っている状態を適合性が良い、詰め物・被せ物の歯との繋ぎ目に隙間や段差がある状態を適合性が悪いと言います。

適合性が良いと、繋ぎ目に細菌の塊である歯垢が溜まりにくく、溜まっても歯ブラシやフロスで歯垢を落とすことができます。その結果、むし歯の再発を抑えることができます。

適合性が悪いと、繋ぎ目に細菌の塊である歯垢が溜まり、溜まった歯垢は歯ブラシやフロスで落とすことができなくなります。その結果、むし歯の再発が起こってしまいます。そんなことが起こるのかと疑問に思われるかもしれませんが、実はとても多いのです。そして、再発したむし歯は詰め物や被せ物の下で拡大し神経に至り歯痛を起こして抜髄が行われます。その結果、歯が割れやすくなり抜歯となります。

つまり、詰め物・被せ物は適合性の良い物を入れ、むし歯の再発を抑えることにより、神経をとらないようにし、歯の強度を落とさないようにすることで歯根破折を未然に防ぐのです。

4まとめ

当医院はマイクロスコープを用いた精密治療専門の歯科医院です。歯茎が膿み腫れて来院される患者さんも多く、歯根が割れているケースがよく見られます。
歯根破折は抜歯に繋がりやすいので、予防が重要です。歯ぎしり対策もするべきとは考えますが、効果が不確実であり、より確実な破折の予防は歯ぎしりに耐えられるよう歯の強度を保つことです。
できるだけ歯の神経をとらないようにして、歯の強度を保てるようにむし歯の再発を防ぐことが、抜歯を避けるためには一番重要な事と当医院は考えています。そのために、当医院では詰め物・被せ物治療において治療用顕微鏡を常に使用し、トップレベルの適合性で詰め物・被せ物を歯に入れるよう心がけています。それが抜歯を避け、歯を長持ちさせる確率を
大きく上げることができるからです。

むし歯の治療後にはむし歯が再発することが多い、またそれが抜歯に繋がっていってしまうということを認識していただきたいと思っています。
皆さんのお口に中の詰め物被せ物が実際どのような状態になっているか、一度マイクロスコープで確認してみると良いと思います。

5当医院ではセカンド・オピニオンも行っています

という方は、お気軽にご相談ください。歯科用顕微鏡とCT画像により、歯根破折しているかをチェックしています。
当院は自由診療となっております。以下に治療費を掲載いたします。
※各種クレジットカードでお支払いいただけます。

カウンセリング料金　　¥11,000

・顕微鏡による、むし歯・歯周病検査など
・レントゲン撮影

CT撮影料金　　¥11,000

通常、CT撮影は別途 33,000円がかかりますが、初回のみ11,000円で撮影します。