岡野歯科医院
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役立つ歯のコラム 役立つ歯のコラム

役立つ歯のコラム

なにげなく摂取している飲み物が、実は歯を溶かしている!

なにげなく摂取している飲み物が、実は歯を溶かしている!

記事概要

歯が溶ける飲み物をご存じでしょうか?『歯が溶ける』ということはどういう事なのか、また、日頃から意識せずに摂取していた飲み物が歯を溶かす物だった場合、どのような対策をすればよいのかについてご説明します。

1はじめに

本ブログは、患者さんから寄せられたお悩みへの回答を中心に、皆さんにぜひ知っていただきたい大切なお話を、できるだけ分かりやすくまとめて記事にしています。
今回は、患者さんからのお悩みではなく、よくある歯科治療の現場の問題を例に、特に知っていただきたい事実をご説明いたします。今回のブログは、歯を溶かしてしまうリスクのある飲み物のお話です。日頃から、意識せずに摂取している飲み物は、どのように歯に作用するのか、『歯を溶かしてしまう』ということはどういう事なのか、についてブログにまとめました。

2歯が溶ける飲み物をご存じでしょうか?

昔、ある高校生が来院した時のことです。

お口の中をみると、歯磨きをしやすい場所の歯で、きちんと綺麗に歯垢が落とせているにもかかわらず、広範に渡って歯が溶けかけていました。

妙だ、と思って話を聞いてみると、その学生は運動部に所属し、顧問の先生から熱中症対策のために、クラブ活動の間、頻繁にスポーツドリンクを摂るよう指導を受けていたようです。

熱中症対策にスポーツドリンク。

いつの間にか、これが当たり前になってしまいました。しかしみなさん、スポーツドリンクを飲んだ事のある方ならお分かりでしょうが、甘味料が入っているのをご存知ですよね。甘くて飲みやすいスポーツドリンクは、体の電解質バランスを整えるイメージでガブ飲みしてしまいがちですが、実は、スポーツドリンクは酸性の飲み物なのです。

むし歯は、むし歯菌が出す酸によって歯が溶けていくのですが、酸性の飲み物によっても歯が溶けるのです。

体にとって良いと思って摂る飲み物も、飲み物の種類と飲み方によっては、気づかずに大事な歯に要らぬダメージを与えてしまうこともあります。

この機会に、よく知っておいていただけると良いと思います。

それでは酸性の飲み物について、少し詳しく説明します。

酸性・アルカリ性の強さを表すものとしてPH(ペーハー)があります。通常お口の中は、唾液の力で中性=PH7に保たれています。酸性に傾いた状態とは、そのPHが7より小さい数値で表される状態の事であり、数値が小さければ小さい程、酸性が強いということになります。

そして、歯のエナメル質が溶け始めるのがPH5.5前後まで酸性に傾いた頃です。
また、象牙質が溶け始めるのがPH6前後です。

お口の中では、絶えず脱灰と唾液による再石灰化が繰り返されています。脱灰とは、お口環境が酸性に傾く事で歯が溶けてしまう現象で、再石灰化とはその逆の修復です。

脱灰と再石灰化の繰り返しの中で、唾液による再石灰化が追いつかない状態になるとむし歯が始まります。

そして、歯が溶ける脱灰の原因は『酸』によるものです。むし歯菌が作り出した酸による脱灰と酸蝕症に分けられます。酸蝕症は、頻繁な嘔吐や逆流性食道炎、酸性の食品や飲み物の頻繁な摂取、強酸を扱う職業などに見られます。

Photo.スポーツドリンクは酸性の飲み物
スポーツドリンクは酸性の飲み物

むし歯菌が出す酸によって歯が溶けていくので、酸性の飲み物によっても歯が溶ける

3酸性に傾くお口の環境を早く中性に戻させることが大事

そもそも、日常的に当たり前に摂取している飲料で歯が溶ける(酸蝕症)という事を意識していない方がほとんどだと思います。

酸蝕症は、酸性の強い飲み物を摂る間隔や回数、摂取時間、飲料の酸性度の強さに影響を受けますが、むし歯同様、唾液からの再石灰化が追いつかなくなって脱灰が優勢になり、歯が溶けます。

脱灰を進めないようにするためには、酸の中和や再石灰化を脱灰より優勢にしなければなりません。しかし、高齢化、薬の副作用、膠原病、心理的緊張などにより唾液が減少すると、酸の中和や再石灰化が起こりにくくなり、酸蝕症をくいとめにくくなります。

また、象牙質はさらに耐酸性が低いので、象牙質が露出している人は、さらに酸蝕症が進みやすくなります。歯周病などにより象牙質が露出している人は注意が必要です。

それでは、食べ物・飲み物による酸蝕症にどのように対処すればよいのでしょうか。

まずは、酸性の飲み物はどんな飲み物なのかを知っておく必要があります。

例をあげてみると、(多少数値は前後すると思いますが)煎茶・緑茶・ウーロン茶などはPH6、紅茶はPH5.5、ジュース・ビールはPH4、スポーツドリンク・ワインはPH3.5、コーラはPH2と言われています。

後半にいけばいくほど、酸性度が高い飲み物です。

これらをすべてカットすることは、現実的では無いかもしれません。対策としては、酸性の飲み物と歯との接している時間を短く、酸性の飲み物を飲んだ後の再石灰化の時間を十分とることで、酸蝕症が進みにくいようにします。

飲み物

具体的には、

  • 酸性の飲み物は摂取の間隔をあけ、ダラダラ飲まない。
  • 1日の中での飲む回数を減らす。
  • 酸性の飲み物を飲んだ後は再石灰化を促進するため、シュガーレスガムを噛むなどして唾液を出す。
  • 就寝している間は唾液が減少し再石灰化が起こりにくいので、寝る直前には飲まない。
  • 唾液を減少させる薬剤を常用している場合は薬剤を変更する。
  • 高齢になると体内に蓄えられる水分量が少なくなるので、唾液を分泌させるために水をまめにとる。
  • スポーツドリンクなど、薄めて飲める物は薄めて飲む。

などです。

以上は、酸蝕症のみならず虫歯予防でも注意するべきポイントです。酸蝕症もむし歯も実際に進行を食い止めるのは唾液によるもので、上記のポイントは、いずれも再石灰化を促進するための工夫なのです。

また、どうしてむし歯になってしまったのか、その原因を突き止めなければ予防はできません。脱灰を早期に見つけて、原因を診断するためにも定期的に検診をうけることをお勧めします。飲食物による酸蝕症や、むし歯を予防するためには、歯ブラシ指導を行うだけでなく、生活習慣のチェックと改善も必要です。可能なら、むし歯ができる前に生活習慣などのアドバイスが受けられると、必要のない治療をしなくて済むでしょう。

知識武装をすることによりむし歯予防の確立を上げていただけたらと思います。

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歯科医師

全国で11名の歯科医師・・・・・・・のみ
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顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医・日本顕微鏡学会認定医

根管治療・顕微鏡歯科治療専門 歯科医岡野 眞

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