岡野歯科医院
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被せ物の精度(適合性)

1に適合、2に適合。適合性にこだわる理由

録画システムみなさんは、「適合性」という言葉をご存知でしょうか。

「適合性」とは歯と詰め物や被せ物とのつなぎ目のギャップ(つなぎ目の合い具合)のことです。
私達歯科医は、つなぎ目のギャップが小さいと「適合性が良い」、つなぎ目のギャップが大きいと「適合性が悪い(不適合)」と言います。言い方を変えると、「適合性が良い」は、つなぎ目がピッタリ合っていること。「適合性が悪い」は、つなぎ目が合わずに隙間や段差になっていることです。

実は、この「適合性」の良し悪しは、詰め物や被せ物をした後の歯の運命を決めてしまう、とても大事なものなのです。

適合性が悪いと何が起こるか

では、「適合性」は詰め物や被せ物をした歯に、どのような影響を及ぼすのでしょうか。

むし歯は、歯垢(細菌の固まり)が歯に溜まるところから始まります。この歯垢の中にむし歯菌がいて、歯を溶かす酸を出し、むし歯をつくります。歯垢が無ければむし歯にはならないのですが、歯と詰め物や被せ物とのつなぎ目が合っていないと、必ずつなぎ目に歯垢が溜まります。そこにむし歯ができやすいのです。要は、むし歯菌が繁殖できる巣を、不適合な詰め物や被せ物が人工的に作ってしまっているのです。
また、不適合な詰め物や被せ物と歯とのつなぎ目に溜まった歯垢は、歯ブラシやフロス、歯科医院でのクリーニングでも落とすことができません。
ですので、不適合な詰め物や被せ物が歯に入った時点で、むし歯が再発するのを自動的に運命づけられてしまうのです。
また、不適合なつなぎ目が歯肉の近くにあると、歯肉の近くが不潔になるので歯周病を起こす原因になることもあります。

詰め物や被せ物が入った歯のむし歯や歯周病のリスクは、その詰め物や被せ物の精度(適合性)の影響を大きく受けるのです。
実は、適合性は、詰め物・被せ物をした歯の予後を左右する重大な問題なのです。

適合性を良くするためには

それでは、『適合性』について、もう少し詳しく説明します。

『適合性』とは、詰め物や被せ物の精度のことです。
 要約すると、歯と被せ物とのつなぎ目がピッタリ合っているかどうかのことです。

不適合(繋ぎ目にすきま)
不適合(外側に飛び出している)
不適合(段差がある)

これまで、日本の歯科治療は、ほとんどそこに触れてきませんでした。一般の方々の認知も低く、詰め物・被せ物に精度があることなど知りません。
 当たり前に治療してもらい、すべて適切な精度で処置が行われ、歯にピッタリ合っていると思われているのではないでしょうか。

しかし現実は、残念ながら、そうなっていません。
当然のごとく、詰め物・被せ物の精度が良くなければ、そこに歯垢が溜まり、バイ菌の巣ができてしまいます。詰め物・被せ物の精度が悪いと、つなぎ目にできた隙間や段差のところには歯ブラシなどの清掃器具は当たらなくなり、そこからむし歯が再発していきます。

一生懸命毎日歯磨きをしても、もちろん歯科医院でのクリーニングでも、精度の悪い詰め物や被せ物に阻まれて、むし歯の再発の原因である歯垢を落とせないのです。特に、神経を抜かれてしまっている歯は、つなぎ目からむし歯が進行してきていても痛みがでないので、抜歯寸前の状態になるまでむし歯が重症化してきているに気が付かないこともあります。

自分の歯の詰め物や被せ物が、どんな状態か不安になる方も多いと思いますが、詰め物や被せ物がピッタリ合っているかどうかの一つの目安としては、フロスが引っかかるか、または詰め物や被せ物がよく外れるかです。(ただし、最近では接着材の接着力が強くなったので、適合が悪くても外れにくく、むし歯の再発の発見が遅れる事も多くなっています)

詰め物・被せ物の精度の低さが、実は、むし歯の再発の原因になっているのです。さらに言えば、お口の中にできるむし歯の80%が、詰め物や被せ物をした後の再発と言われています。

適合性にこだわった当院の治療

適合とは

フロスをかけてもひっかかってしまいます。

上記の画像の矢印のところが不適合の段差です。段差のところの歯垢は落とすことができず、更にフロスをかけてもひっかかってしまいます。

当院で治療した詰め物です。矢印のところが精密治療によって、段差のない詰め物が入った状態です。フロスがひっかかることはありません。

フロスがひっかかることはありません。

天然歯と人工の被せ物の間にすきまがあるとプラークが溜まりやすいことは、容易に想像出来ると思います。
私は、むし歯の再発で歯がダメになっていくのを日々目の当たりにし、この深刻な問題を解決するために、当医院では何を行っているかをお話ししたいと思います。
それは、歯垢が溜まりにくい清掃性がしやすい詰め物・被せ物をする治療のことです。

実は、このピッタリと合う『適合』治療が、日本の歯科治療に浸透しないのには、いくつか理由があります。

一つは、肉眼やルーペ(拡大鏡)では患部が良く見えないために、ピッタリ合っているかどうかは、わからないのです。見えていなければ、当然ながら詰め物や被せ物を歯にピッタリ合わせるのは簡単ではありません。
そこで、当医院では歯科用顕微鏡を使って、詰め物や被せ物の全ての行程を、一つ一つ高倍率(30倍)で確認しながら治療を行っています。要は、どうなっているか見える状態にするということです。もちろん、歯科用顕微鏡を導入しているというだけではなく、歯科用顕微鏡を正しく使いこなせなければなりません。マージン部(歯と詰め物・被せ物とのつなぎ目)の適合性を上げるためには、マージン部を高倍率で見る必要があります。倍率は上げれば上げるほど状況が詳しく把握できるので、最大倍率で見ていくことが必要です。
ただし、歯科用顕微鏡を使っていればよい適合で出来ているとは限りません。顕微鏡を使っていても低倍率で見ていては、肉眼やルーペでの治療と同じです。

もう一つの理由は、精確な型が採れる技術を持った歯科医と共に精確な被せ物が作れる歯科技工士との連携がなければ不可能であるということです。

これらの要件を満たすためには、歯科医師も技工士も歯科用顕微鏡を使用した高度な技術が必要なのです。
当院では、ほとんどの治療を『高倍率(20〜30倍)』で行います。一本の歯の詰め物や被せ物の型採りに最低でも一時間をとり、マイクロスコープを使って可能な限り精密な型採りを行います。
そして、顕微鏡を使って歯にピッタリ合った詰め物・被せ物を作ることができる歯科技工士とも提携しています。高精度の被せ物を製作するためには、歯科医師の技術のみではなく、歯科技工士の技術も大切だからです。
歯科医師も技工士も共に歯科用顕微鏡を使用した高度な技術が必要

歯科医師と同じく、歯科技工士の技術もそれぞれ大きく異なるのです。歯科技工士の技術の優劣によっても詰め物や被せ物の精度に大きな差が出ます。

正しく知ってほしい!
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