【動画で見る、顕微鏡歯科治療と根管治療:Vol.10】破折ファイルが再根管治療を拒む。〜膿を改善するために破折ファイル除去が必要だったケース〜
記事概要
破折ファイルが原因で、根管治療が十分にできず、膿がたまってしまっていたケースです。歯科用顕微鏡にて破折ファイルを除去し、無事、再根管治療ができました。その治療状況を動画解説をまじえてブログにまとめました。他院では『抜歯』が必要だと言われましたが、再根管治療を行った結果、膿が改善されました。
1破折ファイルの問題点
根管治療の際に使う針状の器具を『ファイル』といいます。
このファイルが、治療中に根管の中に折れ込んでしまったものを『破折ファイル』と言います。根管治療を行う歯科医なら、必ずと言っていいほど経験することではありますが、破折ファイル除去は、ケースによってはとても難しく、特に、根管が湾曲しているケースでは、さらに除去の難易度は上がります。
破折ファイルが根管を塞いでしまっていると、それから先の根管を殺菌・消毒できないため、歯根の周りが膿んできてしまうことがあります。
『破折ファイルにより歯根の先が膿んでいる場合は、破折ファイルを除去して再根管治療をすればいいのではないか』と思われるかもしれませんが、破折ファイルが根管の壁に食い込んでいたり、引っ掛かったりしているため、その除去は困難を極めることも多いのです。
そのため、破折ファイルの除去は、治療用顕微鏡にて根管内を最大倍率で視認しながら、慎重に進める必要があります。また、破折ファイル除去にはCTスキャンも有用です。以下に、破折ファイル除去の実際について説明したいと思います。
2破折ファイルの除去方法
下記の動画は、根管内の破折ファイルを除去して再根管治療をした、当院の患者さんの治療動画です。
以下に、解説していきますので、動画と合わせて本ブログを御覧ください。
解説動画
本ケースは、3本ある歯根のうちの、1本の歯根の根管にファイルが折れ込んでいました。
CT画像を確認すると、根を取り巻くように大きな膿の影があり、根管を塞いでいる破折ファイルを取り出した後に、再根管治療をする必要があるケースです。
破折ファイル除去にもCT画像診断は、とても役に立ちます。
破折ファイルが、①根管のどの部分に、②どのような長さで、③どのような角度で、④どこが引っ掛かっていて、⑤根管のどこを削れば外れやすいのか、⑥根管の壁が薄くて穴が開きやすい場所はないかなど、レントゲンの画像よりも、正確に多くの情報を得ることができます。
当医院では、破折ファイル除去時には、必ずCT画像を参考にしながら治療を進めていきます。
3破折ファイル除去の実際 〜②顕微鏡歯科治療〜
本ケースも、毎回ラバーダム防湿を行い治療を行いました。
感染して膿ができているので、確実に根管を殺菌・消毒するためにはラバーダム防湿は不可欠です。
まず最初に、根管充填材を除去します。
除去すると、ようやく破折ファイルが見えてきます。
その後は、慎重に破折ファイルの周りを削っていきました。
本ケースの破折ファイルはとても長いため、破折ファイルの周りの根管壁を削っている途中で、更に破折ファイルを折ってしまう可能性もあります。破折ファイルが、湾曲している先に残ってしまうと、さらに除去の難易度が上がってしまいます。そのため、歯科用顕微鏡で拡大しながら慎重に破折ファイルの周りを削る必要がありました。
本ケースでは、破折ファイルが折れずに出てきやすくするためのルート作りに、長い時間をかけました。
根管治療の場合、成功しやすい環境作りをすることが重要です。
そこに時間をかけずに早く終わらせようとすると、根管治療の成功率を下げることに繋がりかねないからです。
当医院の根管治療の成功率の高さは、治療時間をしっかりかけて、成功しやすい環境作りを事前にしておくところにあります。早く治療が終わるのが良い治療とは限らないということをご理解いただきたいと思います。
破折ファイルを取り出す治療のシーンについては、上記の動画をご覧ください。
4破折ファイル除去後
本ケースでは、最終的に破折ファイル除去用の器具を使って、破折ファイルを除去しました。
そして、破折ファイルで塞がっていた根管を殺菌・消毒し、歯根の先まで根管充填し、再根管治療を完了させました。
本ケースのように根尖病変(膿)大きいと、治りにくいケースもありますが、再根管治療後から約6ヶ月後のCT画像では、完全に膿が消失し、歯根の周りに骨が再生していることが確認できました。
もしも、根管に破折ファイルがあり、再根管治療が必要な場合は、根管治療が得意な歯科医院に相談することをお勧めします。今回の患者さんのように、破折ファイルがあり再根管治療が難しいと思われるケースは、抜歯を勧める歯科医院も多いと思います。
破折ファイルがある=抜歯とは限らないということを知っていただきたいと思います。
5当院の根管治療成功率
日本の根管治療の成功率は30〜50%(失敗率は50〜70%)であり、残念ながら世界的にも決して誇れるものではないという学術データが出ています。世界の成功率に届き、更に超えることを目指すべきと考え、日々診療をしています。
当院の根管治療(非外科的歯内療法)の成功率は96.1%であり、必要に応じて外科的歯内療法(外科手術)を併用した場合には成功率が98.7%に向上します。外科的歯内療法は通常、非外科的歯内療法で治癒しなかったケースに行われますが、当院では非外科的歯内療法で治癒に導けることが多く、外科的歯内療法を必要としないことがほとんどです。さらに、根管治療または外科的歯内療法で膿が治った後には、膿が再発するケースは、ほぼ100%ありません。(術者がベストを尽くしても患者側の生体反応の違いにより、治療の成功率は100%と言い切ることはできませんが、当院では、ほぼ100%に近い成功率を出しています。)
更に当院では、根管治療が成功した状態を維持するために、根管治療後に入れる被せ物も高精度に製作し、細菌の根管への再感染を(コロナルリーケージ)を防ぎます。
根管治療のみならず、根管治療後の被せ物治療も顕微鏡を使って責任をもって作成することにより、予後の良い状態を保つことができています。これらは、当医院の15年間の顕微鏡治療の結果によっても証明されています。

全国で11名の歯科医師のみ、
日本で最も厳しい顕微鏡歯科基準をクリア
顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医・日本顕微鏡学会認定医
根管治療・顕微鏡歯科治療専門 歯科医岡野 眞