突然、歯ぐきが腫れた!知っておきたい8つの原因と対処法
記事概要
『突然、歯茎が腫れた!』という経験はありませんか。歯茎の腫れには幾つか原因があり、それぞれ対処法が異なります。原因を見誤ってしまうと、いつまでも腫れは消失しません。この記事では歯茎が腫れる8つの原因とその対処法について説明しています。
目次
- 1はじめに
- 2歯茎が腫れる=炎症が起きている、ということ
- 3正確な診査・診断のためのマイクロスコープとCTスキャン
- 4歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.1 むし歯
- 5歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.2 不十分な根管治療
- 6歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.3 歯周病
- 7歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.4 歯根破折
- 8歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.5 セメント質剥離
- 9歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.6 インプラント周囲炎
- 10歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.7 親知らず
- 11歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.8 口内炎
- 12正確な診断と適切かつ精密な治療
- 13歯茎の腫れで悩んでいる方の根管治療について
- 14当医院ではセカンド・オピニオンも行っています
- 15ネットでのお悩み相談回答
1はじめに
CHECK
こんなお悩みはありませんか?
- 突然、歯茎が腫れた。
- いくら治療しても歯茎の腫れが治らない。
- 歯茎の腫れを繰り返して困っている。
当医院では、このようなお悩みを抱えた方が多く来院します。よく相談いただくのは、『突然、歯茎が腫れて心配』というお声です。歯茎が腫れると、どうして腫れたのか不安になりますよね。
皆さんのお悩みを真剣に解決するため、これまで蓄積してきた顕微鏡歯科治療の知識と技術をもって診療に取り組んでいます。当医院は、顕微鏡歯科治療専門の歯科医院です。2010年より、むし歯治療(詰め物・被せ物)、根管治療(歯の神経の治療)、歯周病治療、抜歯などの口腔外科手術、定期検診など、全ての治療に歯科用顕微鏡を使用し、治療の成功率を高めてきました。長年、歯科用顕微鏡を使って治療してきた結果、治療成功率の高さ、予後の良さを日々実感しています。
そこで、今回は『なぜ突然歯茎が腫れてしまうのか。そして、何故、歯茎の腫れが治らないのか』、その理由と治療法について解説します。
実は、歯茎の腫れには様々な原因があり、それぞれ対処法が異なります。逆に原因を見誤ってしまうと腫れは消失しません。ご自身の歯茎の腫れの原因は、どれに当てはまりどのような対処が必要になるのか、参考にしていただければと思います。
全国で11名の歯科医師のみ、
日本で最も厳しい顕微鏡歯科基準をクリア
顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医・日本顕微鏡学会認定医
歯科医師岡野 眞
2歯茎が腫れる=炎症が起きている、ということ
歯茎に限らず、体の一部分が突然腫れるのはは、炎症が起きていることが考えられます。
何もないところに炎症は起こらず、炎症が起きているということは何かしらの原因が存在します。
かならず理由がありますので、炎症の治療をするためにも、まず、その原因をつきとめる事が必要です。
これは、歯茎の腫れに限った事ではありません。
炎症が起きている原因が分からないと、診断もつかなければ治療も行えません。
治療のためには、正確な診査・診断が必要ですが、歯科医師の知見はもちろんのこと、診査のために使う機材も重要です。診査に使う器材によって、その後の治療の内容を左右する診断がかわってしまうことがあるのです。正しい診断ができなければ、歯茎の腫れも治すことができません。
そこで、まず適切な治療のために必要である、正確な診査・診断について次に説明したいと思います。
3正確な診査・診断のためのマイクロスコープとCTスキャン
実は、歯茎の腫れの正確な診査・診断には歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)とCTスキャンがとても役に立ちます。そもそも、正しい診断ができていなければ誤った治療をしてしまう可能性もあるので、まずは診断が一番重要です。
歯科用顕微鏡を用いて口腔内を拡大して患部を確認すると、暗く狭いお口の中でも何が起こっているかを正確に見ることができます。加えて、CT画像を併せて診断すれば、歯茎の中で何が起こっているかわかりやすくなり、さらに診断の精度は高まります。
一例ですが、患部を歯科用顕微鏡で拡大して見ることで、以下のような情報が得られます。
- ①肉眼や拡大鏡では見えにくい場所のむし歯(奥歯や歯と歯の間など)
- ②肉眼や拡大鏡では見えにくい、歯と詰め物・被せ物との繋ぎ目にできたむし歯(むし歯の再発)
- ③肉眼や拡大鏡では見えにくい根管の中に取り残された感染物質(腐敗した歯髄や汚染された根管充填材)
- ④ヘアラインクラック(歯に入った肉眼や拡大鏡では見えない位の細いヒビ)
- ⑤肉眼や拡大鏡では見えにくい、歯肉縁下(歯周ポケットの中)深くにある歯石の取り残し
- ⑥コーンケーブ(歯の表面のくぼみ)などの見えずらいところに残った歯垢や歯石
など、これらは特に歯科用顕微鏡を使わないと見えづらい部分です。
このように肉眼や拡大鏡では見落としがちな状況を、歯科用顕微鏡を使うことによって見落としにくいような環境にに変えていくことができます。
また、レントゲン写真だけでは、歯茎の腫れの原因になっている病巣が見えない事があります。しかし、CTを使えばレントゲン写真では見えなかったむし歯や膿などの病巣をはっきり確認できるケースがあり、原因となっている歯の特定、歯の破折の有無、歯の周りの骨の吸収の有無、歯の神経が通っている根管の形態など、CT画像からはレントゲン画像からは得られにくい様々な情報を得ることができます。もはや、医科と同様、歯科領域でもCT無しでの診断はあり得ない時代になっています。
以上のように、歯科用顕微鏡とCTを使う事で、口腔内の情報をより多く得ることにより、正しい診断をすることができ、より成功率が高く信頼性の高い治療ができるようになります。そして、『歯茎が腫れる原因』、『歯茎の腫れが治らない原因』の診査・診断にも、歯科用顕微鏡とCTは大きな力を発揮します。
まずは、しっかり原因を見定め、正しい治療に繋げていくためにも、歯科用顕微鏡とCTを組み合わせて正確な診査・診断をすることが必要です。
それでは、突然、歯茎が腫れる主な原因を8つに絞って説明していきます。
4歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.1 むし歯
むし歯は、その重症度によってC1~C4に分類されます。
- C1:エナメル質に限局したむし歯
- C2:象牙質まですすんだむし歯
- C3:歯の神経まで侵されたむし歯
- C4:歯茎から上の歯の部分が崩壊したむし歯
むし歯がC3やC4まで進むと、むし歯菌が歯の神経(歯髄)に入り込み、歯の神経が炎症を起こします。その後、歯の根の周りまで炎症が波及して歯茎が腫れます。この原因としては、むし歯菌が歯の奥深くまで進んで起こるケース、二次カリエス(歯と詰め物・被せ物のとのつなぎ目にできた、むし歯の再発)が重症化したケース、詰め物・被せ物治療時にむし歯を歯の中に取り残したために起こるケースが多いです。また、一見、深くまで進行したむし歯には見えず、今症状がない状態でも、すでに歯髄にむし歯菌が入り込んでいて炎症を起こし始めていることもあります。
むし歯菌が歯の神経に入り込み、歯の神経に炎症を起こして歯茎が腫れるのは、急性の歯髄炎(歯髄が生きている状態で炎症を起こし、根の周りにまで炎症が波及している)と、急性の根尖性歯周炎(歯髄が死んで腐敗し、それが原因で根の周りに炎症を起こしている)があります。急性歯髄炎の場合には根尖性歯周炎ほどは歯茎は腫れません。急性歯髄炎は、歯根の先あたりの歯茎を押した時に痛いくらいで、見た目にはほとんど腫れがわからないことが多いです。急性根尖性歯周炎の場合は、根の先に膿を持ち歯茎に膿があふれ出てくると腫れてきます。
むし歯が原因の場合の治療法
急性の歯髄炎を起こしている場合は、細菌感染で傷んだ歯の神経をとります。
根尖性歯周炎の場合には、腐敗した神経組織を取り除き、細菌で汚染された神経の通り道を殺菌・消毒します。
いずれも根管治療により根の周りの炎症をとり、歯茎の腫れを改善します。
しかし、根管治療は難しく日本では成功率が低いのが現状です(※データの根拠はこちら)。そのため、根管治療をやり直しても上手くいかず、歯茎の腫れがなかなか治りません。根管治療の成功率を上げ、歯茎の腫れを再発させたり繰り返させないためには、ラバーダム防湿、CTによる診断、歯科用顕微鏡を使った精密な根管治療が必要です。
関連ページ
- 日本における根管治療の成功率について GO
5歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.2 不十分な根管治療
根管治療(歯の神経の治療)が不十分なケースで歯茎が腫れる事があります。
むし歯が重症化すると根管治療が必要となりますが、歯の神経の通り道(根管)は皆さんが想像する以上に複雑で、歯根の中で曲がっていたり枝分かれしていることも多く、細菌感染によりいたんだ歯の神経を綺麗に取り、根管の隅々まで殺菌・消毒するのは困難を極めます。そのため、根管治療をしても、根管内の殺菌・消毒が十分されていないのに気づかないまま治療を終えてしまうことがあります。その結果、細菌が根管内に残り、歯の根の周りが化膿して歯茎が腫れます。
根管治療が不十分なことにより歯茎が腫れる原因として、
- ①根管治療時に歯髄が取りきれておらず残髄炎を起こしている(根管に取り残された神経の炎症)
- ②根管内の感染が取りきれていない(根管の殺菌・消毒ができていない)
- ③根管の先まで根管充填が足りておらず、根の先にデッドスペース(すき間)ができ、そこで細菌が繁殖している
- ④根管の壁に穴が開き歯茎と貫通し炎症を起こしている(パーホレーション)
等が考えられます。
不十分な根管治療の治療法
上記のケースは再根管治療が必要になります。
炎症の原因は細菌です。細菌がいなければ炎症は起きません。ですから、根管治療時には感染対策がとても重要になってきます。
基本的な事ですが、
- ①ラバーダム防湿
- ②滅菌された機材
- ③適切な消毒剤
- ④適切な消毒方法
などの感染対策をしっかり行った上で、精密な根管治療を行い、根管を隅々まで清掃することにより歯茎の腫れの原因になっている根の先の炎症を改善します。
根管治療は、細菌との戦いです。
まずは、上記で述べた①~④ができていないと、根管治療の成功率を下げてしまいます。日本の一般の歯科医院での根管治療の成功率は30~50%と言われています。(※データの根拠はこちら)
たとえ今、無症状であっても、実際には根管治療が上手くいっていない事も多く、治療が終わってしばらくしてから突然歯茎が腫れたり痛みを起こしてくることもあります。
更に、再根管治療を成功させるためには、大事なポイントがもう一つあります。
それは、CT画像を用いた根管の通り道の分析と歯科用顕微鏡を使った根管治療です。
再根管治療では、根管に潜むバイ菌を殺菌・消毒することが特に重要になりますが、根管は三次元的に湾曲していたり、複雑に枝分かれしていたりしていて、実際に根管を殺菌・消毒することは困難を極めることも多いです。再根管治療前に、根管の状態を事前に把握できれば、治療時に注意しなければいけないポイントがわかり、それを治療に反映できるのですが、レントゲン画像では二次元的な画像しか得られないので、根管の走行の把握が足りずに治療の一部が経験や勘の治療になってしまいます。CT画像では根管の三次元的な画像が得られ、レントゲン画像より詳しく根管の状態を把握でき、根管の湾曲具合や未治療の根管の見落としなど、どこを注意しなければいけないかがわかり、勘の治療をせずにすみます。より根管を確実に殺菌・消毒するためには、根管のCTスキャンが有効なのです。
また当院は、歯科用顕微鏡で高倍率を維持しながら根管治療をします。根管は皆さんが想像する以上に細く暗いので、根管の中の感染物質を除去できているか、肉眼や拡大鏡ではわからないのです。一般的には、治療用顕微鏡は状況の確認だけに高倍率を使う事が多いのですが、当医院は治療の最初から最後まで最大倍率(肉眼の30倍)で視ながら治療を行います。高倍率での治療は特に難しく熟練を要します。
さらに、当医院では治療の全工程を録画しており、治療後に液晶モニターで治療動画を再生して説明をしています。モニターでの説明は、歯科用顕微鏡で大きく拡大視して撮影していないと詳しく状況を説明できませんし、状態のチェックだけ(チェッキングビュー)ではなく、本当に顕微鏡を覗きながら治療している(ワーキングビュー)ことも証明できます。確かな顕微鏡治療であるかは、モニターでの説明時に大きく拡大視しているか、で分かります。
関連ページ
- 日本における根管治療の成功率について GO
6歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.3 歯周病
歯茎の腫れの原因が歯周病である場合、歯周病が重症なケースが多いです。
歯周病は、あまりにも重症だと治療しても治らない場合も多くあります。
下のデータを御覧ください。抜歯にいたる原因の1位が歯周病です。このように、歯周病が重症化してしまうと助けられないことが多いのです。
重症化した歯周病では歯を支える歯槽骨が大きく溶け、それに伴い歯周ポケットが深くなります。歯周ポケットが深くなると、歯の周りに細菌がたくさん溜まってしまうので、歯茎が化膿して腫れやすくなります。
関連ページ
- 引用:抜歯の主原因(全体)と抜歯の主原因別にみた抜歯数(年齢階級別、実数)安藤雄一, 相田潤, 森田学, 青山旬, 増井峰夫.永久歯の抜歯原因調査報告書東京: 8020推進財団; 2005. GO
歯周病の治療法
この対処法は歯周病治療です。
歯周病治療は、まず歯の周りに付着している歯垢や歯石を徹底的に除去することにより改善を図ります。
しかし、化膿するほど歯ぐきが腫れている場合は、歯周ポケットが深すぎるため、歯の根の表面に強固に付着している歯石を肉眼や拡大鏡で目視して除去するのはとても難しく、歯石を取り残してしまい、歯周病を改善できずに抜歯されてしまうこともあります。
歯周病は自覚症状なく、静かに進行することも多いです。
ですから、歯周病が進行していないか、定期健診で早期発見・治療することがまずは大事です。
歯周病の基本治療は、ブラッシングとデンタルフロスや歯間ブラシによる歯垢落とし(プラークコントロール)と歯肉縁下の歯石除去です。
実はここでも、顕微鏡治療が有効です。
歯周病治療では、日々の歯ブラシなどによる歯垢落とし(プラークコントロール)が最も重要になります。そもそも、プラークコントロールができていないと歯周病治療は失敗します。歯科用顕微鏡は、動画撮影ができるので、ブラッシングで落とされていない歯垢を録画し、タイムリーにモニターに再生して見ていただくことができます。それれにより、歯垢の残存部位を確認していただき、どこの歯垢を落とせばいいかを理解しやすくなり、的確なプラークコントロールを習得できるので、歯周病もより改善しやすくなります。
また、当医院では顕微鏡下で歯周ポケット内を覗きながら歯石を取ります。歯周病を進行させる細菌は、歯石があると歯周ポケットの中ではびこりやすくなります。歯科用顕微鏡は肉眼やルーペ(拡大鏡)よりも、狭くて暗い歯周ポケット内の歯根面を良く見ることができるので、より確実な歯石除去ができます。実際、顕微鏡を使って歯肉縁下歯石を取るようになってから、以前より歯周病が改善する患者さんが増えました。
特に、歯周病が進行し歯周ポケットが深い場合、歯科用顕微鏡を使わずに肉眼やルーペで歯肉縁下歯石をとると、ポケットの中はよく見えないので、術者の勘や手指の感覚のみで歯石を取らざるをえなり、結局は歯石を取り残してしまうケースも多くなります。
歯肉縁下歯石は歯周ポケットの中の歯根面に非常に強固に付いており、簡単には取ることができません。歯根面はコーンケープという窪みがあったり、細かい凸凹があったり、歯根面が複雑で歯石除去の器具が届かないこともあります。
そのような状況でも、歯科用顕微鏡を使えば、歯肉縁下に付いている歯石を目視できるので、より確かな歯石の除去ができます。歯科用顕微鏡を使ったポケット内の歯石除去は非常に難しいのですが、当院では顕微鏡治療に熟練した歯科医師が行います。
きちんと歯石が取れることで、歯周ポケットの中でバイ菌がはびこりにくくなり、歯周病治療の予後は良好になって、歯茎の腫れを改善することができます。
また、歯周病の進行に歯ぎしりが関わっていることがあります。
その場合には、歯への負担軽減のために咬み合わせで強く当たるところを削ったり(咬合調整)、マウスピースなどの歯ぎしり対策が必要なことがあります。
7歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.4 歯根破折
歯根破折とは歯に過剰な力が加わって歯の根にヒビが入り、歯の根が割れた状態です。(用語集にリンク)このヒビにバイ菌が入り込み、歯茎の中に膿を持ち歯茎が腫れてきます。歯根破折は、歯ぎしりが関わっていることが多いです。
歯根破折の治療法
歯根破折は、割れ方によっては抜歯となります。ヒビに入り込んだ細菌は、根管治療でも殺菌・消毒が難しく、特に歯肉縁下での歯根破折は抜歯になることが多いです。歯肉縁上で割れた場合は、歯を残せる事が多いのですが、ヒビがとても細く目えずらかった場合、歯肉縁上から歯肉縁下に破折が続いていることに気がつかないことがあり、破折したまま詰め物や被せ物をしてしまい、後から痛くなったり歯茎が腫れてくることもありますので、歯根破折は審査・診断が特に重要です。
大臼歯のように歯根が2~3本ある歯であれば、その中の一本のみにヒビが限局している場合、歯の根を分割してヒビが入っている根のみ抜歯して残りの根を温存する方法もあります。
診断に関しては、歯根破折は肉眼や拡大鏡、レントゲン画像ではわかりづらく、CT画像と歯科用顕微鏡を組み合わせて診断するのが有効です。
一見、レントゲン画像ではわかりづらくても、CT画像だと特有の歯槽骨の吸収画像が見られ、確定ではありませんが歯根破折を予測する事ができます。そして、破折が予想されるところを顕微鏡で強拡大で視認することにより、歯根破折を確定診断することができます。
もちろん、CTと顕微鏡があれば全て破折を発見できるというわけではありませんが、正しい診断ができる確率が上がります。
8歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.5 セメント質剥離
歯の根は象牙質の周りにセメント質という層が歯根を取り巻くように存在します。
セメント質剥離とはセメント質が象牙質から剥がれた状態のことです。歯根破折同様、今まで何も問題がなくても、急に歯茎が腫れてきます。セメント質は、歯を支える歯槽骨と歯をつなげるために必要な組織です。セメント質が象牙質から剥がれ、歯と歯槽骨との結合がなくなると、そこに細菌が入り込み、深い歯周ポケットができて歯茎が膿んで腫れます。
セメント質剥離は高齢者に多く、歯にかかる過剰な力によって起こると言われています。
診断は、
- ①急な歯周ポケットの深化の有無
- ②レントゲン画像またはCT画像による歯槽骨の吸収像やセメント質剥離片像の有無
- ③歯科用顕微鏡によるポケット内のセメント質剥離片の目視による確認
などで行います。
セメント質剥離の治療法
対処法は、どの場所でどのくらいの範囲のセメント質が剥がれているかで変わります。
セメント質が歯肉縁下の浅いところで剥がれている場合は剥離したセメント質を除去し、必要に応じて歯周組織再生療法を行います。セメント質剝離の場所が歯茎の深くまで及び、剥離の範囲が大きい場合には抜歯となるケースもあります。
9歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.6 インプラント周囲炎
インプラント周囲炎でも歯茎が腫れることがあります。
インプラント周囲炎とは、チタン製のインプラントを埋め込んだ後で、そのインプラントの周りに感染が起こり、インプラントの周りの歯肉が炎症を起こしている状態のことです。インプラント周囲炎を起こすと、インプラントを支える周りの骨が吸収して無くなっていきます。骨が大きく吸収してしまうとインプラントの周りに深いポケットができ、歯肉に膿を持ち腫れてきます。
インプラント歯周炎の治療法
インプラントの周りの骨が大きく吸収してしまうと、インプラントを除去することになります。
天然歯のようにしっかり噛める第2の歯としてインプラント治療は普及しましたが、インプラント周囲炎は切実な問題です。しっかりとしたメンテナンスが重要です。
10歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.7 親知らず
歯茎が腫れるトラブルというと、親知らずも有名だと思います。
親知らずは、第三大臼歯もしくは智歯とも呼ばれます。一番奥に生える永久歯ですが、傾斜して生えたりすることも多く、上手く生えきらずにバイ菌が溜まりやすくなり、親知らずの周りの歯茎が化膿して腫れます。これを智歯周囲炎と言います。
親知らずの生え方が良くないと、親知らずと手前の歯である第二大臼歯との間に隙間ができ、そこに食べかすや歯垢が溜まり、親知らずだけでなく第二大臼歯も同時にむし歯になってしまう場合もあります。また、第二大臼歯と親知らずの間の歯肉が炎症を起こして、第二大臼歯の周りの歯槽骨が溶けてしまうこともあります。このような親知らずによる悪影響により、第二大臼歯が抜歯になってしまうこともあるので注意が必要です。
親知らずの治療法
対処法は親知らずの抜歯です。
11歯茎が腫れる主な原因と治療法:Vol.8 口内炎
白いところが口内炎です
口内炎でも歯茎が腫れることがあります。
歯茎に口内炎ができると、口内炎の潰瘍部に細菌が感染し歯肉が腫れます。
口内炎は口の粘膜に潰瘍ができるため、食べ物がそこにぶつかると痛みが生じます。ただし、ひどく腫れることは稀です。自発痛というよりは擦過痛を感じます。
口内炎は、免疫力の低下、栄養障害、ストレス、疲労、外傷、ウィルス感染などが原因で起こります。
口内炎の治療法
対処法は口内炎の原因によって変わります。基本的にはお口の中を清潔にし、うがい薬による含嗽、場合によっては抗生物質を投与します。
12正確な診断と適切かつ精密な治療
みなさんが一番心配な事は、『抜歯になるのではないか?』ということではないでしょうか?突然、歯茎が腫れたり、さらに歯茎の腫れが長期に渡って治らなかったりすると、このままでは抜歯になってしまうのではないかと不安になると思います。
上記のことからもわかるように、歯茎の腫れは様々な原因で起こります。腫れの原因によっては、適切で、かつ精密な治療で解決できるケースも多々あります。治らない歯茎の腫れがあったとしても、必ずしも抜歯とは限らないのです。
そして、覚えておいていただきたいのが、正確な診査・診断と同じくらい治療技術も重要という事です。歯茎が腫れる原因がわかったとしても、それに対しての治療自体が上手くいかなければ治るものも治らないことがあり得るからです。CTスキャンと歯科用顕微鏡は歯茎の腫れの診査・診断のみならず、治療にも大きな力を発揮します。CT画像により患部の状況を事前に把握し治療計画をたて、肉眼や拡大鏡(ルーペ)では目えずらい患部を、歯科用顕微鏡で拡大視し、実際に目視しながら精密に治療する(顕微鏡歯科治療)ことにより成功率が上がり、歯茎の腫れが治る可能性を高め、抜歯を免れることができるかもしれません。顕微鏡歯科治療は、根管治療・歯周病治療など歯科治療全般に顕微鏡治療ができる歯科医院がオススメです。何故なら、様々な歯茎の腫れの原因に顕微鏡で対処することがができるからです。
歯茎の腫れは、原因によって対処が異なります。
まずは、原因をしっかり診査・診断し、対処できる歯科医院を選ぶことが大切です。
13歯茎の腫れで悩んでいる方の根管治療について
当院では、歯茎の腫れが根管治療により改善が期待出来る場合は、以下のように治療を進めています。ただし、これは一般的な治療方針です。患者さんの個々の状況により、治療内容に多少の差異が生じます。
歯茎の腫れで悩んでいる方は、一度、お電話でお問合せいただくことをオススメいたします。
STEP.1
初回カウンセリング
初診当日はカウンセリングとなります。
① 問診表の記入
② マイクロスコープ検査(必要に応じてレントゲン・CT撮影・歯周病検査)と診断
③ 治療計画および治療内容のご説明
※治療期間、費用等、患者さんと相談の上、治療方針を決定いたします。その後、次回の治療予約となります。
STEP.2
隔壁作成
まずは、隔壁を作成します。隔壁とは、唾液から根管への細菌感染を防ぐためと、根管治療で適切な薬剤を使えるようにするためのラバーダム防湿を行う為に作成する「壁」の事です。壁を作ることで、この先の治療が安全に確実に行えるようになります。なお、「隔壁作成」前に、被せ物・詰め物・土台・裏 層の除去が必要なことがあります。
STEP.3
根管治療開始
ここから根管治療の開始となります。1回の治療は、約60分ほどです。治療回数は、患者さんの根管の数や根管の複雑さによって変わります。(治療回数はおおよそ1~5回位です)
根管治療時は、毎回、ラバーダム防湿を設置します。さらに、CT画像を確認しながら治療用顕微鏡下で根管の清掃、殺菌・消毒、根管充填を精密に行います。
STEP.4
支台築造・仮歯作成
根管治療が完了した後は、土台作成(支台築造)を行っていきます。当医院では、土台作成時にもラバーダム防湿を行います。また、必要に応じて更に仮歯を作成し、経過観察に入ります。
STEP.5
治療判定
当医院では通常、根管治療終了後6ヶ月後に患部のCT撮影を行い、治療効果を判定しています。
根尖病変(根の先の膿)の改善がみられた場合は、被せ物治療に移っていきます。当医院では、被せ物治療も治療用顕微鏡を使って精密な被せ物をします。
また、病変の改善が見られない場合は、患者さんと相談後、外科的歯内療法、歯根の部分抜歯、または抜歯を予定します。
14当医院ではセカンド・オピニオンも行っています
当医院では、突然の歯茎の腫れで悩んでいる方のために、セカンド・オピニオンで診断と治療法のご提案をおこなっております。他院で治療中であっても可能です。
CHECK
他院で治療中であっても可能です
- 突然、歯茎が腫れてしまった。
- いくら治療しても歯茎の腫れが治らない。
- 歯茎の腫れを繰り返して困っている。
という方は、お気軽にご相談ください。
当院は自由診療となっております。以下に治療費を掲載いたしますので、ご参考ください。
※各種クレジットカードでお支払いいただけます。
カウンセリング ¥11,000
・顕微鏡による、むし歯・歯周病審査など
・レントゲン撮影
CT撮影 ¥11,000
通常、CT撮影は別途 33,000円がかかりますが、初回のみ11,000円で撮影します。
15ネットでのお悩み相談回答
当サイトでは、皆様からのお悩みを受け付けております。今の主治医に聞けないこと、ネットで調べたけどよくわからない歯の治療のことなど、回答してほしいお悩みがあれば、相談受付フォームより投稿ください。
回答ができ次第、後日、こちらに掲載させていただきます。
また、こちらのお悩み相談は、個別での回答はしておりません。あくまでも、インターネットで公開できる一般的な回答となります。もしも、個別の相談がある場合は、必ずお電話にてお問合せください。
関連ページ
全国で11名の歯科医師のみ、
日本で最も厳しい顕微鏡歯科基準をクリア
顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医・日本顕微鏡学会認定医
根管治療・顕微鏡歯科治療専門 歯科医岡野 眞